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2023年の「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」誌上に世界大学ランキングが発表された。評価基準を明らかにしたうえで、日本の順位を確認してみよう。上位100大学とともに、アジア勢の勢いや日本の大学に対する海外の評価についても考察する。
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では、ここからは日本の大学への評価に的を絞って見ていこう。上位100位までにランクインした2校は、以下のとおりである。
・39位 東京大学
・68位 京都大学
前年と比較して、東京大学は4つ、京都大学は7つ順位を落としている。100位以下にも注目してみると、以下のような大学がランクインした。
順位 | 大学名 | スコア |
201位~250位 | 東北大学 | 51.2~54.3 |
251位~300位 | 大阪大学 | 48.9~51.1 |
301位~350位 | 名古屋大学 | 47.0~48.7 |
301位~350位 | 東京工業大学 | 47.0~48.7 |
501位~600位 | 北海道大学 | 39.3~42.0 |
501位~600位 | 九州大学 | 39.3~42.0 |
501位~600位 | 東京医科歯科大学 | 39.3~42.0 |
501位~600位 | 筑波大学 | 39.3~42.0 |
これらの大学を含め、1000位までに合計で22校がランクインした。ちなみに、日本国内順位の上位10位までは、すべて国立大学である。日本の私立大学でもっとも高い順位を記録したのは、「関西医科大学(601-800位)」と「産業医科大学(同)」であった。
上位1000位までにランクインした22校のうち、国公立・私立の内訳は以下のとおりである。
・国立 12大学(54.5%)
・公立 2大学(9.1%)
・私立 8大学 (36.4%)
日本の大学のうち、国公立大学は187校、私立大学は620校である。国公立大学は私立大学と比較して数は少ないものの、ランキング上位22校の6割以上を占める結果となった。
世界から見た日本の大学への評価は、項目別のスコアに注目すればわかる。日本ランキングトップを獲得した東京大学では、5つの評価項目それぞれのスコアが以下のように開示されている。
・教育/学習環境 88.1
・研究 91.4
・論文の被引用数(研究の影響) 55.5
・国際的な展望(国際性) 43.3
・業界収入 86.7
研究や業界収入のスコアについては、世界でもトップクラス。教育・学習環境についても、ランキング上位10か国と比較して遜色ない結果と言えるだろう。足りていないのは、残りの2項目、論文の被引用数(研究の影響)と国際的な展望(国際性)である。
とくに国際的な展望(国際性)については、今回ランクインした日本の大学の多くにおいて低い傾向がある。大学それぞれの国際性をどう養っていくのかが、今後の評価を高めるための重要なポイントと言えるだろう。
毎年発表される世界大学ランキング。2023年の結果としては、トップ100にランクインした東京大学と京都大学の両方が、昨年に比べ順位を落とすこととなった。一方で、中国を筆頭にアジア勢の勢いは増し、こうしたトレンドは今後も続くと予想される。順位だけではなく、その項目別の評価にまで目を向けつつ、今後の動向に注目してほしい。
※1
令和4年度学校基本調査(速報値)について公表します(3ページ目)|文部科学省
諸外国の教育統計 令和4(2022)年版(15〜17ページ)|文部科学省
※2
World University Rankings 2023|Times Higher Education
World University Rankings 2022|Times Higher Education
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