Photo by Saatgutkonfetti BBS UG
ドイツのスタートアップが開発した、サステナブルな紙吹雪。でんぷんと天然染料を混ぜたものに、23種類の種子を加えた紙吹雪で、堆肥化できる。環境に負荷をかけないだけでなく、生態系にもいい影響を与えられる。
岡島真琴|Makoto Okajima
編集者・ライター・キュレーター
ドイツ在住。自分にも環境にも優しい暮らしを実践する友人たちの影響で、サステナブルとは何かを考え始める。編集者・ライター・キュレーターとして活動しつつ、リトルプレスSEA SONS PRE…
Photo by Saatgutkonfetti BBS UG
誕生日パーティーや結婚式などを華やかに彩ってくれる紙吹雪だが、使うのは一瞬で、その後はただのごみになってしまうことがほとんど。ドイツ西部ケルンの伝統行事であるカーニバルでもまた、期間中に毎年400tものごみが捨てられているという。
ケルン出身で、カッセル芸術大学でプロダクトデザインを学んでいたフィリップ・ヴァイヤー氏は、そんなカーニバルの楽しさと環境への配慮を両立させるべく、仲間たちと堆肥化が可能な紙吹雪を開発した。
ヴァイヤー氏はこのアイデアで、カッセル芸術大学の卒業生展での学生賞をはじめ、UNIKAT Ideas Competitionのオーディエンス賞、Green Concept Award 2019など、さまざまな賞を獲得。その後2019年4月からスタートアップ企業「ザートグート・コンフェティ(SaatgutKonfetti)」として、さまざまな紙吹雪の製造・販売を行なっている。
Photo by Saatgutkonfetti BBS UG
この紙吹雪は、でんぷんと天然染料を混ぜ合わせたものに、23種類の植物の種を加えてできている。
種は、ドイツやヨーロッパに広く分布する植物を厳選。ミツバチやチョウなどの昆虫にも配慮し、原生植物や生物多様性を脅かすものは含まれていない。そのため、使用後の紙吹雪は昆虫の住処や食料になり、種からは芽が出ていくと期待できる。
これにより、ごみを出さずに、環境に負荷をかけることなくお祝いできる。同時に地域の生物多様性の保護につながるのだ。
なおこの紙吹雪は、ドイツの住宅地、とくに庭での使用がすすめられている。
Photo by Saatgutkonfetti BBS UG
SaatgutKonfettiの紙吹雪はドイツの生態系にもとづいてつくられているため、販売はドイツ国内のみ。自然保護区や国外では使用しないよう呼びかけている。
だが近い将来、ほかの国や地域でも利用できるよう、それぞれの地域の生態系に即した紙吹雪の開発を進めているという。
せっかくのお祝いごとを心から楽しめるように、こうしたサステナブルなアイデア商品で生活を彩っていきたい。
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