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ノルウェーの首都オスロは、ディーゼル燃料で走るバスを450台の電気バスに変更。すべての公共交通機関で電化を導入する、世界初の都市を目指す。オスロ市では2030年までにゼロエミッションの都市となることを目標としている。
今西香月
環境&美容系フリーライター
慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中
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ノルウェーの首都オスロでは、ゼロエミッションの公共交通ネットワークの構築に取り組んでおり、2023年までにすべての公共交通機関で電化を進めている。
オスロでは「2030年までに温室効果ガスを排出しない都市になる」目標を掲げており、ゼロエミッションの公共交通ネットワーク構築はその取り組みの一環だ。このプロジェクトの目標は、温室効果ガスの排出量や騒音を減らし、都市の大気の質を改善することにある。
今後政府は、ディーゼル燃料で運行するバスを新しい電気バス450台に交換する予定。4,800万ユーロ(約70億円)の大規模投資ではあるが、長期的には大きな節約効果をもたらすことと期待している。市が実施した直近の入札では、電気バスの価格は同等のディーゼル車よりも5%程安かったという。
人口70万人のオスロでは、フィヨルドを航行するフェリーのほとんどはすでに電動化されている。またノルウェーは水が豊富であることから、水力発電で電力の大部分をまかなっていることで知られる。
環境と輸送を担当するオスロ副市長のシリン・スタヴ氏は「バスなどの公共交通機関の電気化はメンテナンス費用を軽減し、運営者側もコストダウンできる。全体としてwin-winとなる」と述べ、他の都市にもオスロの事例に従うよう勧めている。
北欧ノルウェーは公共交通機関の多くで電化が進んでいることで知られる。しかし、公共交通機関の運賃は、世界中の都市と比べてかなり高く設定されている。
しかも自動車利用時の通行料金が再び上がっており、人々が通勤でトラムや地下鉄、バスを利用するメリットがほとんどないそうだ。
昨今、他のヨーロッパ諸国では、エネルギー価格の高騰から公共交通の利用を促進するため、運賃が引き下げられている。
例えば、ドイツのベルリンでは月29ユーロ(約4100円)で、ベルリン市内の中心部の公共交通機関を無制限で利用できるチケットを発売。
オーストリアでは全国で使える「気候変動対策チケット」を発行し、アイルランドは運賃を20%値下げている。ルクセンブルクでは2020年3月より、公共交通機関の利用料が無料になり、エストニアの首都タリンでは2013年から無料にしている。
今後オスロで公共交通機関の電化を進め、市民に「マイカーより公共交通機関を利用したい」と思わせるためには、政府などの支援によって運賃の引き下げが重要になりそうだ。
※参考
Norway to slash pollution with the world’s first zero-emissions public transport network|euronews
No transit fare relief as tolls rise|News in English.no
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