ジェンダーフリーとは ジェンダーレスとの違いや普及への取り組み

手を触れ合わせようとする二人の人間

Photo by Hanna Morris on Unsplash

社会的・文化的な性的差別を遠ざけ、みずからの能力を自由に発揮するジェンダーフリー。男女、あるいはそのほかの性にとらわれず、個性や個人の資質を重視する考えかただ。しかし、いまだジェンダーに関してはさまざまな課題がある。ジェンダーフリーをはじめ、ジェンダーにかかわる課題や取り組みにつ

ELEMINIST Editor

エレミニスト編集部

日本をはじめ、世界中から厳選された最新のサステナブルな情報をエレミニスト独自の目線からお届けします。エシカル&ミニマルな暮らしと消費、サステナブルな生き方をガイドします。

2022.11.09
ACTION
編集部オリジナル

知識をもって体験することで地球を変える|ELEMINIST Followersのビーチクリーンレポート

Promotion

ジェンダーに関するさまざまな問題

ジェンダーをめぐり、残念ながらさまざまな問題が起きている。グローバルレベルで是正が進んでいるとはいえ、いまだ完全な解決には至っていないのが現実だ。

教育格差

女性に教育は必要ないという古い考えかたが、男女間の教育格差を生む。初等教育ではあまり見られない男女間の差が、中等~高等教育になると急激に開くという傾向が見られる地域も。

経済的損失の発生

女性の教育や賃金労働の機会を奪うことにより、約950億ドルもの経済的損失が発生している(※1)。ことにアフリカ大陸のサハラ以南で見られる傾向であり、地域の社会的文化が影響していると考えられる。

雇用機会や賃金の不平等

女性というだけで雇用機会に恵まれないケースがある。また、賃金格差がある国も少なくない。国際労働機関(ILO)によると、世界の男女賃金格差は平均22.9%とのことだ。(※2)

ジェンダーに基づく暴力

2020年、世界の女性の30%が身体的・性的に望まない暴力を受けた。また、UN Womenの発表では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による都市封鎖や行動制限のなか、近しい関係のパートナーから暴力を受ける女性が増加したという調査結果も報告されている。

このような事例で経済的損失が発生することも問題視されるべき一面だ。被害を受けた人々の支援費用、司法でのサポート費用などが1.5兆円、世界のGDPにすると約2%にものぼると算出されている。

ジェンダーフリーへの取り組み

ジェンダーフリーへ向けた取り組みは日々進められている。各企業でおこなわれているいくつかの事例を見てみよう。

ANAホールディングス

インクルージョン&ダイバーシティを推進し、アンコンシャス・バイアスの認識を進めた。その結果、固定的な性別役割分担意識が洗い出され、従業員の意識変革に結びつけられている。意識変革によってあらたなイノベーションを獲得できることへの期待もあるようだ。

コーセー

女性・男性ともに活躍できる土壌づくりを開始。従来は男性比率が高かった役職者の女性比率を高める取り組みを導入した。また、女性だけではなく男性も家庭内の役割をになえるよう、「コーセーイクパパサポート制度」を導入。男性の育休取得率が50%を超える結果になった。

業務に関してもジェンダーフリーをかかげ、新しい化粧文化の発信に意欲的な姿勢を見せている。

新生銀行

各人のアンコンシャス・バイアスと向き合い、一人ひとりの能力を重視する「グループ女性活躍推進委員会」を設置。従来は男性が主軸だった業務に対して女性の参画を推進した。

過去に女性管理職登用を推進した際、サポートが不充分ではなかったという総括のもと、現在は確固たるサポート環境を整備。

ソフトバンク

ソフトバンク株式会社は従来より性別・能力・国籍にかかわらない能力主義として知られていた。しかし社内ヒアリングでジェンダーによる差があるとの意見が見られたため、仕事のアサインの改善、女性管理職の割合を増加する取り組みをスタートした。

管理職・一般職ともにeラーニングを実施し、自身のバイアスを整理した上で職場での事例をディスカッションする。また、外部の有識者をアドバイザーに迎えるなど、社内の課題把握と改善に熱心に取り組んでいる。

啓発による意識改革が実現するジェンダーフリーな社会

ジェンダーの問題は旧態依然の固定観念がまねくこともある。性別によって社会的・文化的な役割を強要されることは、誰にとってもいい結果をもたらすはずがない。むしろ優秀な人材を埋もれさせてしまいかねない可能性もある。

ジェンダーにとらわれず、個々の能力で輝けるジェンダーフリーの社会にするため、グローバルレベルでの取り組みが期待される。

※掲載している情報は、2022年11月9日時点のものです。

    Read More

    Latest Articles

    ELEMINIST Recommends