Photo by Bibi Pace on Unplash
イタリアの都市カパンノリが、ヨーロッパの第三者評価基準「ゼロウェイスト都市認証」によるゼロウェイスト都市に認定された。カパンノリは15年前からゼロウェイストの取り組みを行ってきており、その取り組み内容もあわせて紹介する。
今西香月
環境&美容系フリーライター
慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中
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イタリア・トスカーナ州の中心部に位置する、人口4万6700人の小都市カパンノリ。ゼロウェイストとサーキュラーエコノミー運動での先駆者として知られる同都市が、イタリアで初めて、「ゼロウェイスト都市認証(Zero Waste Cities Certification)」のゼロウェイスト認定都市となった。
これは、非政府組織であるミッション・ゼロ・アカデミー(Mission Zero Academy)がはじめたもので、ゼロウェイスト・ヨーロッパ(Zero Waste Europe)が運営を行っている第三者評価基準だ。ヨーロッパ各都市のゼロウェイストへの移行促進を目的としている。
認証を受ける都市では、ゼロウェイストの取り組みについて3年おきに調査が行われ、その結果が最高5ツ星までの星で評価される。今回カパンノリは4ツ星を獲得して、ゼロウェイスト認定都市となった。
では、カパンノリがどのようにゼロウェイスト認定都市となったのか、その取り組みを紹介しよう。
カパンノリでは、15年前より廃棄物ゼロの取り組みをスタートした。当時、ごみ焼却で排出される有害物質による健康問題が議論されていた。さらに焼却炉があることでごみの発生を促している側面もあることから、市民は焼却炉への依存ではなく「ごみゼロの街づくり」の決断を下した。
こうして2007年に、ヨーロッパ初の都市としてゼロウェイスト戦略に署名。2020年までのゼロウェイストに向けて取り組みを開始した。
カパンノリでは、2005年から2010年にかけて、ごみの戸別収集での分別を開始した。小さな村から実験的に導入し、必要に応じてシステムの改善を行いながら、2010年には市全体に導入。その頃には、廃棄されるごみの82%がその場で分別され、埋立地に送られるごみは全体のわずか18%になったという。
加えて、2011年にはランマリ村に独自の再利用センターを開設。良好な状態の洋服、靴、おもちゃ、電化製品、家具などあらゆる日用品を回収して、必要に応じて修理し販売する。こうして「新品はなるべく買わない」「壊れたら修理」のリサイクル文化が市全体に定着していった。
2012年からは、ごみの新しい料金制度「Pay As You Throw」を導入。ごみ袋にマイクロチップを埋め込んだシールが貼られていて、これによってごみを出す頻度や重さが各家庭ごとに記録され、ごみを出した分に応じて料金を支払うシステムだ。こうしたプロセスを経て、ごみの分別率を最大90%まで高めることに成功した。
カパンノリの現在のごみ分別回収率は81.86%で、ヨーロッパ平均の約48%を大きく上回る。また、資源を分別した後に残るごみの量は一人当たり59kgで、イタリアの平均を約60%下回る結果となっている。
カパンノリのゼロウェイスト戦略成功のかぎは2つある。「地元住民の積極的な参加」と「廃棄物に対する情報の透明性」だ。
ゼロウェイストに関する情報公開やアイデア募集は、地元住民を巻き込む形で開かれた。ごみの戸別収集での分別では、ボランティアがごみ袋や分別キットを配布。新しいシステムに関して住民から寄せられる質問に、ボランティアがすべて回答できるよう訓練を徹底したという。
さらに、廃棄やリサイクル状況を数値として見える化するアイデアも、自分たちの現在地と目標とのギャップを把握するうえで役に立っただろう。
ゼロウェイストを実現することは決して簡単なことではない。だがカンパノリではごみの戸別収集や分別に対する住民の満足度は94%と非常に高かったそうだ。地域の人が一丸となって取り組む仕組みと高い意識が、ゼロウェイストを達成するためには必要そうだ。
※参考
THE STORY OF CAPANNORI|zerowasteeurope.eu
Capannori becomes the first Zero Waste Certified City in Italy and the third in Europe|moderndiplomacy
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