プラスチックの歯ブラシは環境にどのような影響を与えるだろう?歯ブラシと環境問題について解説し、オーガニック竹歯ブラシをはじめ、エコな歯磨き粉など、環境にやさしいオーラルケアグッズ10個を紹介する。
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歯ブラシといえば、プラスチック製のものが主流だ。ホテルのアメニティも、ドラッグストアに並ぶ歯ブラシも、まだまだプラスチック製がほとんどだろう。
国土交通省観光庁「宿泊旅行統計調査」によると、2019年の日本における延べ宿泊者数は5億9,592万人泊。(※1)仮に全員がアメニティの使い捨て歯ブラシを捨てた場合、1年間で8,940tもの歯ブラシがごみになる計算だ(1本15gとして換算)。
世界中で廃棄されている歯ブラシは年間約36億本といわれている。歯ブラシに使用されているプラスチックは、自然に還ることがない。つまり、ごみとして、あるいは破砕されマイクロプラスチックとして、地球に存在し続ける。プラスチックが地球の生態系を崩しているということは想像に難くない。さらに人や動物にもその影響がおよび始めている。
Photo by kazuend on Unsplash
そんな歯ブラシで生まれるごみ問題を解決するため生まれたのが、オーガニック竹歯ブラシの「MiYO Organic(ミヨオーガニック)」だ。同ブランドでは、できるだけプラスチックの使用量を抑え、竹を使った環境にやさしいエコな歯ブラシを提案している。
MiYO Organic(ミヨオーガニック)の山本美代代表は、竹に注目した理由として以下の4つを挙げる。
1. 生分解するから
2. 自然界に存在する循環資源だから
3. 竹の風合いに魅力があるから
4. 割箸のように口の中に含入れることに慣れていると考えたから
竹は再生サイクルが早い素材であり、農薬や化学肥料を使わなくても自然に再生する。適切に管理すれば、永続的な利用が可能といわれている。特別な手を加えずとも自然に還るのもポイントのひとつだ。
さらに、違和感がなく使えるという点で、もともと日本人に馴染みのある竹素材は受け入れられやすい。竹の風合いや自然の香りといった“心地よさ”も自然素材ならではの魅力といえる。
MiYO Organic(ミヨオーガニック)が誕生したきっかけは、山本代表が出張先のホテルで、アメニティの歯ブラシについて「明日の朝に使ったら、捨てるんだ」とふと気づいたことだった。
アメニティの歯ブラシは、夜と朝、たった2回だけ使って捨てられる。日本中にあるホテルの部屋の数を考えれば、毎日大量の歯ブラシのごみが出ることになる。さらに世界全体で考えれば、その数は膨大になる。
「家庭でのごみ削減も必要ですが、ホテルなどの商業施設は使用量の規模が大きいので、ホテルのアメニティが変われば地球にとって大きなインパクトがあるのでは……と思ったんです」と、山本代表。
こうしてホテル向けと家庭向けに開発されたのが、MiYO Organic(ミヨオーガニック)の竹歯ブラシだ。この竹歯ブラシは、防カビ・防腐剤・漂白剤を使用しないオーガニック製法。持ち手部分は竹で、ブラシの毛はヒマシ油からできた自然由来の素材でできている。
パッケージに関してもエコを徹底。包装紙には、放置竹林の竹を100%使用した竹紙を。印刷にはベジタブルインキを採用している。使用するプラスチック量は従来の歯ブラシに比べて、90%削減に成功している(オーガニック竹歯ブラシの場合)。
竹歯ブラシは、「プラスチックの歯ブラシと比べて、保管やお手入れが面倒なのでは?」と思うかもしれないが、特別なことは必要ない。
ただ、竹は自然素材なのでカビの発生を防ぐために風通しのいい場所で保管することが必要だ。「使用後に持ち手部分などを軽くタオルドライすると全然違いますよ」と、山本代表。
ちなみに、プラスチック製と比べてブラシ部分の菌繁殖率は変わらないのだとか。衛生面に関しても遜色がない。
では、MiYO Organic(ミヨオーガニック)の竹歯ブラシをはじめ、環境にやさしいオーラルケアグッズ10個を紹介しよう。いずれも、サステナブルでエシカルなアイテムを取り扱う『ELEMINIST SHOP』で販売中だ。
柄に竹が使用されていて、従来の歯ブラシに比べてプラスチックごみを90%削減。包装紙にも竹紙やベジタブルインキが採用され、エコにこだわった竹歯ブラシ。
海外製のエコ歯ブラシが出回っていても、日本人の口のサイズには大きすぎる場合が多い。そこで山本代表が歯科衛生士とともに、日本人の口腔サイズに合わせた小さめのヘッドをデザイン。そのため、奥歯まで磨きやすいのもポイント。
スタンダードなオーガニック竹歯ブラシのミニサイズ。子どもや女性の口に合わせて、ヘッドは小さめに、柄は短く握りやすいように持ちデザインされている。ブラシのかたさは、「やわらかめ」と「ふつう」から選べる。
包装紙を完全になくした、MiYO Organic(ミヨオーガニック)のオーガニック竹歯ブラシ。竹歯ブラシがそのまま届くから、よりゼロウェイストに近づけるだろう。1本から購入可能で、3本セット、5本セット、10本セットもオーダー可能。
綿棒の芯の部分に竹が使われているプラスチックフリーな綿棒。竹が持つしなやかさを活かしたつくりで、程よい強度がある。安心感のある使い心地と少し小ぶりなサイズ感が好評。
ホテルの使い捨てアメニティへの疑問から生まれた、MiYO Organic(ミヨオーガニック)の竹歯ブラシが入った出張セット。植物由来の原料でできたデンタルフロスと天然原料由来の歯磨き粉を合わせた3点が、ピュアプラチナシリコーン製のstasher(スタッシャー)に入っている。出張や旅先にも持ち歩いて、繰り返し使いたいセットだ。
100%天然由来原料でつくられるホワイトニング歯磨き粉ブランド「Davids(デイヴィッズ)」。歯の表面をなめらかに整えるナノヒドロキシアパタイトが配合されている歯磨き粉で、敏感な歯と歯茎をやさしくケアできる。すべての原料のトレーサビリティが明確なのもポイントのひとつ。
天然原料をベースとしたホワイトニング歯磨き粉。ココナッツの殻を高温処理した活性炭が使用されていて、すぐれた吸着力で口臭の原因となるニオイをオフ。配合されているココナッツオイルには、口内細菌を殺す作用がある。リサイクル可能な金属製チューブに入っており、最後まで使い切れるようにチューブ絞りが付いている。
アメリカのミント農家から届くフレッシュなミントを使って完成する、オリジナルフレーバーの歯磨き粉。キリッとした清涼感が心地いいペパーミントの香りが特徴で、100%ナチュラルでありながら、さわやかな息が長く続く。ブラッシングにより「歯を白くする・歯垢を除去する・歯石の沈着を防ぐ・口臭を防ぐ」効果が期待できる。
天然原料をベースにつくられるホワイトニング歯磨き粉「Davids(デイヴィッズ)」のミニサイズ。通常の3分の1程度の50gサイズなので、持ち運びに便利。オフィスに置いて使ったり、出張や旅行先に持っていったりできる。
素材にこだわって商品開発を行うドイツのオーラルケアブランド「HYDROPHIL(ハイドロフィル)」のタブレット型歯磨き粉。ペパーミントやレモンなどの天然植物エキスが配合されている。通常の歯磨き粉と違って錠剤タイプなので、必要な分だけ持ち運ぶことができる。130粒入り、1日2回の歯磨きで約2ヶ月使用できる。
歯ブラシや歯磨き粉は誰もが毎日使うものなのに、エコなものが少ないのが実情だ。でも一人ひとりの小さな心がけが未来につながっていくはず。使い捨てず、繰り返し心地よく使えるオーラルケアグッズを、これからの選択肢として考えてみてはどうだろう。
※1 宿泊旅行統計調査 P5|国土交通省観光庁
https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/content/001350485.pdf
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