Photo by TrusTrace
ファッション・小売業界におけるサプライチェーンの透明性とトレーサビリティに関するガイドブック「The Traceability Playbook」が誕生した。バレンシアガ、グッチなどの業界大手の最新事例のほか、関連する法律などを網羅。段階的なロードマップを提供している。
今西香月
環境&美容系フリーライター
慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中
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サステナブルファッションやエシカル消費に注目が集まるなか、環境へ配慮し社会貢献につながる商品を選ぶ消費者が増えている。そしてファッション・小売業界の多くがトレーサビリティの確保や情報開示の重要性を認識し始めている。
こうしたニーズを受けて、ファッションと小売業界におけるサプライチェーンの透明性と製品のトレーサビリティについてまとめたガイドブック「The Traceability Playbook」が生まれた。
これは、サプライチェーンの透明性やトレーサビリティに関するプラットフォームを運営するスイスのTrusTraceが発表したものだ。同様の取り組みを推進する組織「ファッション・レボリューション(Fashion Revolution)」や「ファッション・フォー・グッド(Fashion for Good)」と共同でまとめた。
このガイドブックの制作の目的は、業界の垣根を超えたコラボレーションと知識の共有を通じて、ファッション業界の持続可能な変革を加速することだ。
そもそも制作のきっかけとなったのは、2022年に入ってからTrusTraceがブランドから、トレーサビリティに関するガイダンスやサポートへの問い合わせを数多く受けたことがある。その件数は、前年比350%と急増している。
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「トレーサビリティ」とは「追跡可能性」の意味。原材料の調達から製造、加工、流通などサプライチェーンのあらゆる工程を追跡可能にすることを指す。
とくにアパレルはサプライチェーンが複雑になるケースが多く、「環境に配慮して調達された原材料なのか」「労働環境や人権は守られているか」など、生産背景が不透明になりやすい。そのため、生産から販売まで一連のプロセスの履歴管理を明確にしトレーサビリティを確保することは、消費者からの信頼を獲得することに直結する。
また、トレーサビリティはアパレル業界で多くのブランドが注力するサスティナビリティとも深いつながりがある。ブランドの持続可能性を裏付けるには、透明性の高い信頼できる情報開示が必須だ。トレーサビリティを徹底することは、サステナブルファッションには必要不可欠なプロセスだろう。
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このガイドブックでは、ブランドがサプライチェーンのトレーサビリティを達成するための基本的な内容を網羅したマニュアル的存在だ。
具体的には、トレーサビリティの実現に必要な法律をはじめ、デジタルサプライチェーンのトレンドなどを紹介。さらにバレンシアガ、グッチ、アディダスといったブランドの事例も掲載し、トレーサビリティを確保するための段階的なロードマップを提供している。
このようなガイドブックができたことは多くのブランドがトレーサビリティの必要性について気づき始めている証拠だろう。現在は、サプライチェーンのトレーサビリティには、各ブランドが自主的に開示しているが、いずれ業界などによる国際的なルールの制定が求められていくものと考えられる。
※参考
The Traceability Playbook for Fashion Supply Chains|TrusTrace
TrusTrace Launches Traceability Playbook in Partnership with Fashion Revolution & Fashion for Good|supplychainquarterly
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