アメリカ農務省がオーガニックへ移行する農家を支援 最大750ドルを負担

アメリカ農務省がオーガニックへ移行する農家を支援

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アメリカで、オーガニック農業に移行する農家を支援する制度が始まる。オーガニック農法へ移行する農家は、USDA(アメリカ農務省)より最大750ドルの支援を受けることが可能で、認証取得のトレーニングが必要な場合にも支援を受けられる。

今西香月

環境&美容系フリーライター

慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中

2022.05.30

オーガニック農法の市場拡大に向けて

最大750ドルのコストシェアで有機農法への転換をサポート

Photo by Michael Kirsh on Unsplash

アメリカのオーガニック農作物の売上高は、2021年には前年から5.5%増加し、初めて90億ドル(約1兆1,500億円)を超えた。高まる環境意識と有機農作物への需要増加により、アメリカにおけるオーガニック市場は今後も拡大する見込みだ。

こうした機運が高まるなか、アメリカ農務省(USDA)は農家の有機農法への移行をサポートする2つの新制度を発表した。

1つは、オーガニック認証コストシェアプログラム(OCCSP)で、オーガニックプロセスへの移行費用を最大750ドル(約96,000円)支援する。もう1つは、オーガニック認証取得のトレーニングが必要な場合に提供するオーガニック移行教育認証プログラム(OTECP)で、認定カテゴリーごとに最大250ドル(約32,000円)を支援するものだ。

プログラムの適用対象

・有機生産者と取扱者の認証費用(カテゴリーごとに費用の25%、最大250ドルを支援)
・有機栽培へ移行中の生産者への費用(認証前の検査や有機システム計画費用も含む。費用の75%、最大750ドルを支援)
・有機栽培学習関連イベントの登録料(費用の75%、最大200ドルを支援)
・土壌診断(費用の75%、最大100ドルを支援)

このプログラムの費用負担は、作物、野生作物、家畜、加工、州の有機プログラム料金の各カテゴリーで利用可能だ。生産者はOCCSPとOTECPの両方を通じてサポートを受けられる。

どちらのプログラムも、2021年10月1日から2022年9月30日までに発生した費用をカバーするもので、2022年10月31日が申請期限となっている。

農家の経済的負担を国・自治体がサポート

アメリカでオーガニック商品を認証するのが、アメリカ農務省が主導する「USDAオーガニック」で、日本の有機JASにあたる。

USDAが定めるガイドラインをクリアした農産物・畜産物・テキスタイルなどは、USDAオーガニック認証マークの表示や「オーガニック」をうたって販売できる。化学肥料や成長ホルモン、放射線照射、遺伝子組換え原料を使用していないといった品質の安全性を消費者にアピールすることで、信頼性や商品付加価値が高まるメリットがある。

アメリカ「USDAオーガニック認証」とは マークの持つ意味や基準をわかりやすく解説

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一方で、USDA認証を受けるためにはUSDAの基準を満たす必要があり、農家などの生産者は経済的負担を負う。とくに小規模農家になるほど資金不足や人手不足は顕著で、認可を受けづらいだろう。

こうした状況を国や自治体がサポートすることで、生産者がオーガニック認証を取得しやすい環境が整備される。それがやがて、オーガニック市場の活性化につながるだろう。

近年は「環境負荷の少ない商品を手にしたい」とエシカル消費を望む人が増えている。こうしたニーズを満たし、環境問題の解決につなげるためにも、オーガニックを身近な存在に押し上げる補助制度の充実が期待される。

※掲載している情報は、2022年5月30日時点のものです。

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