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ドイツの首都ベルリンで、世界最大規模のカーフリーゾーン(自動車禁止区域)の設置が検討されている。自家用車の利用を制限し、大気汚染や地球温暖化を防ぐ目的で、ベルリン市民の5万人以上が署名し、この法案に賛同を表明している。
今西香月
環境&美容系フリーライター
慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中
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ドイツ最大の都市ベルリンで、カーフリーゾーンの計画が検討されている。対象区域は鉄道Sバーンに囲まれた約88平方km。東京の山手線内側の面積がおよそ65平方㎞と言われているので、それよりも広範囲が対象だ。計画が実現すれば、世界最大のカーフリーゾーンが誕生することとなる。
この計画は、市民の呼びかけから始まったものだ。2019年、3人のベルリン市民が街の中心部にカーフリーゾーンをつくるアイデアを練った。これがもとになり、2021年4月には5万人以上のベルリン市民が区域内で自家用車の使用を禁止する法案の誓願書に署名。ベルリンの議会で検討されることになったのだ。
カーフリーゾーンでは、市民の自家用車での移動を制限され、緊急車両、ごみ収集車、タクシー、商用車、歩行が困難で車移動が欠かせない人には特別許可が与えられる。すでにベルリンではカーゴバイクでの配達が主流であるが、配達車両も許可対象になる。
区域内での一般市民の移動は、徒歩、自転車、公共交通機関の利用が中心となる。引越し等で車が必要な場合には、年に最大12回までカーシェアリングプログラムを通じて車を使用できる制度を検討中だ。
議会によってこの法案が否決された場合、17万5,000人の市民の署名が集まれば、2023年の住民投票が行われ法制化について決まる流れだ。
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カーフリーゾーンができることは、大気汚染や地球温暖化を防ぐことにつながる。さらに自動車の利用が制限されれば、公共エリアの多くを緑化し、歩行者のスペースを拡張できる。さらに交通量が減れば、交通事故数も減少すると期待できる。
また電気自動車へのシフトが各国で進められているが、ドイツの電気自動車の普及率はわずか1.3%だ。そのため、ベルリン市民は「電気自動車へのシフトでは、自分たちの都市問題を解決できない」と考え、カーフリーというオプションを選択しているようだ。実際、ベルリン市民の大多数が「自動車がないほうが幸せ」と考えているという。
カーフリー推進サイト「berlin-autofrei」では、持続可能な暮らしやすい社会を目指すには、自転車に乗る人、歩行者、子ども、高齢者のような人々に焦点をあてた街づくりが重要だと唱えている。
車を極力使わないというベルリン市民の革新的な意思決定は、私たちの知見を広げる有用な事例となるだろう。
※参考
berlin-autofrei
Berlin is planning a car-free area larger than Manhattan|Fast Company
Berlin could create the biggest car-free urban area in the world |TimeOut
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