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アイデアやデザインを加えて、もとより価値のあるものにする「アップサイクル」。日本で手軽に購入できて、クオリティを追求した上質なプロダクトが魅力のアップサイクルブランドについて、ファッション、コスメ、ライフスタイル、フードから厳選して紹介する。
監修者: 白鳥麻衣
トレンドリサーチャー
埼玉県出身。2014年から2019年までアメリカのニューヨークに居住し、トレンドリサーチャーとして衣食住のトレンドをリサーチする。さらに、ニューヨークでヨガを学んだことをきっ…
ELEMINIST Editor
エレミニスト編集部
日本をはじめ、世界中から厳選された最新のサステナブルな情報をエレミニスト独自の目線からお届けします。エシカル&ミニマルな暮らしと消費、サステナブルな生き方をガイドします。
大量生産、大量消費による環境への負荷が深刻化するなか、同じものを繰り返し利用するリユース、ペットボトルや缶を資源化して再利用するリサイクルとともに注目されているのが「アップサイクル 」だ。
アップサイクルとは、捨てられるはずだったものに新たなアイデアやデザイン性をプラスすることで、もとの状態より価値のあるものへアップデートすること。価値がアップすることで、ものとしての寿命が延びることが期待され、食品業界から建設業界までさまざまなブランドが、アップサイクルに取り組む事例が増えてきている。
そこで今回は、『ELEMINIST』のトレンドリサーチャー白鳥麻衣が、自身のお気に入りのアップサイクルブランドをピックアップ。日本で購入できるもののなかから、とくにおすすめを厳選して紹介する。
ファッションの生産工程で出てしまい、工場に眠るたくさんの残糸や残布に着目したアップサイクルブランド。長く着られるいいものづくりをコンセプトに、イタリア製のウール、シルクやスビンコットンといった高級長綿など、厳選した上質な素材のみを使用する。
トレンドリサーチャー白鳥の「ココがおすすめ!」
「RYE TENDER(ライテンダー)のアイテムは、シンプルなデザインにリラックス感のあるシルエットが特徴的です。ユニセックスで着られるアイテムも多いので、家族やパートナーとシェア使いもできますよ。確かなクオリティとデザイン性が両立した、リピートしたくなるブランドです」
一般的なジュエリーに使用されるSV925とは一線を画すピュアシルバー(SV999)を採用する「SARARTH(サラース)」。デザイナー宗形あやみさんが「地球と肌に優しいブランド」を目指し新素材の研究を行ったことがはじまり。一部のパーツを除き、原料はすべて再生シルバーを使用し、売り上げの一部は森林再生プロジェクトに寄付。金属アレルギーが起きにくく、長く愛用できる。
トレンドリサーチャー白鳥の「ココがおすすめ!」
「国内で回収・再生された素材をアップサイクルした高硬度PURE SILVER 999を使用したジュエリーは、トレンドをおさえながらもミニマル。世代やジェンダーを超えて着用できるデザインが魅力です」
使用済ペットボトルを洗浄・殺菌・粉砕し、生まれる再生PET糸。そんなリサイクル糸でつくるシューズを、「Öffen(オッフェン)」では展開している。さらにÖffen(オッフェン)では、製造過程で発生する二酸化炭素の排出を少なくするため、製造工程を見直してミニマムに抑える取り組みも実践している。
トレンドリサーチャー白鳥の「ココがおすすめ!」
「華やかな色使いや豊富なデザイン、そして走りだせるほど軽やかな履き心地が魅力のÖffen(オッフェン)のシューズ。エシカルにお洒落を楽しみたい女性は要チェックです。最近は、残布を使用したウェディングシューズの展開もスタートしています」
福島県・国見町で栽培されるあんぽ柿。これまで製造工程で破棄されていた、そんな柿の皮を原料につくられた無添加のフェミニンケアケブランド「明日 わたしは柿の木にのぼる」。デリケートゾーンのケアだけでなく、ボディーパーツの保湿アイテムとしても使用できる汎用性の高いケアアイテムを展開する。
トレンドリサーチャー白鳥の「ココがおすすめ!」
「このブランドのSNSでは、さまざまな分野で活躍する女性をゲストに迎え、キャリアや性に関するトークセッションを行っています。製品だけでなくブランドコミュニケーションでも、女性をサポートする取り組みを行なっているのも魅力です」
多くの著名人を担当するカリスマヘアスタイリストが、故郷の北海道・余市で生産される白ワインの醸造工程で廃棄されるブドウの皮をアップサイクルしたヘアケアブランド。ブドウの皮から抽出されるのは「クロノシャルディ」という保湿成分で、ヘアケア業界ではこれが初めての採用された。人体に存在する時計遺伝子に働きかけ、肌リズムを整えながらバリア機能を回復へ導いてくれる。
トレンドリサーチャー白鳥の「ココがおすすめ!」
「美容と環境への配慮だけでなく、地域貢献にもつながるという点でも素晴らしいプロダクト。すべての製品で天然由来成分が94%以上配合されていて、安心して使えます」
リサイクルプラスチックを含め、プラスチックを一切使用しないというコンセプトを貫く、フランス・パリ発のクリーンコスメブランド「La bouche rouge(ラ ブーシュ ルージュ)」。皮工場で破棄される細かい皮の端切れからアップサイクルしたレザーを使い、リップ、マスカラ、パウダーケースを別売りで販売している。またリップカラーには、従来使われていたマイクロプラスティックや防腐剤など体や地球に有害な成分を一切使用せず、ビビッドな発色を実現。カラーリフィルをリップレザーにセットするだけで繰り返し使える。
トレンドリサーチャー白鳥の「ココがおすすめ!」
「使わなくなったリップカラーがたくさんある……ということ、多くの人が経験あるのでは?でもマイイニシャルを刻印したレザーケースをつければ、一生モノのリップカラーになるはず!」
オーストラリア最古の織布工場とリトアニアの織布工場で出た切れ端をアップサイクルしたウールブランケットを展開している。ブランケットは70%以上がリサイクルのメリノウールもしくはラムウールの廃材、30%がモヘアや綿、強度を増すための少量のポリエステルでつくられている。また使えなくなった場合も回収され、再度ブランケットとして再生することが可能な“クローズドループ”を実現している。
トレンドリサーチャー白鳥の「ココがおすすめ!」
「肌寒く感じるときは、暖房を入れる前にまずブランケットで暖を取る。温かいときはピクニックの敷物やバサッと部屋のなかにかけてお洒落なインテリアにも。そうすることで、一年中Seljak Brand(セルジャック ブランド)と一緒にエシカルなライフスタイルを楽しめます」
「毎日に彩りを」をコンセプトに、サンシャインジュースのしぼりカスやeatrip soilのテラスで育った果物などから植物染色した100%ボタニカルダイによるエプロンやシャツ、キャップ、シューレースなどを展開。人種、性別、体型を問わず、誰にでも着られるデザインで、長く使い続けられるアイテムを提案している。ブランド名は、残りものを意味する「Left overs」からつけられている。
トレンドリサーチャー白鳥の「ココがおすすめ!」
「野菜のエキスによって鮮やかなカラーに染まったプロダクトは、ファッション性が高くユニセックスで使えます。また、サンシャインジュースはしぼりカスの繊維質や栄養を堆肥化する活動にも取り組んでいます。たとえばLefts,(レフツ)のエプロンを身につけて、食の循環を考えながら料理をしてみるのもいいかも!」
東京では年間1億億5,000万本ものワインが飲まれ、ワインのコルク栓が大量に廃棄されている。そんなコルク栓を再生化させるために始まったのが「TOKYO CORK PROJECT」。分別・洗浄・乾燥・粉砕のプロセスを経て、コルク栓がペットグッズやインテリアグッズなどに生まれ変わっている。再生コルクとその他の廃棄マテリアル・リサイクルマテリアルを組み合わせた「anela(アネラ)」と、インテリアから生活雑貨などの定番ライン「THE TOKYO CORK」の2ブランドを展開している。
トレンドリサーチャー白鳥の「ココがおすすめ!」
「anelaは大人から子ども、そしてペットまで楽しめるアイテムが揃う。どのコレクションもスタイリッシュなデザインで、お部屋のインテリアとしても楽しめるのが特徴。知育おもちゃの定番である積み木は、子どもだけでなく大人が楽しめるアイテム。子供のいる家族へのギフトにも最適で、ギフトを通してエシカルについての会話のきっかけにもなるかも」
京都の四条河原町にある複合施設「GOOD NATURE STATION」のオリジナルブランド。ビーントゥバーチョコレートを製造する際の副産物で、活用されることが少ない
カカオハスク(カカオ豆の皮)の旨味や心癒される香りに着目し、塩や醤油などのアップサイクル調味料から、コーヒーやチャイ、お茶などを販売する。
トレンドリサーチャー白鳥の「ココがおすすめ!」
「日常的に使用する醤油や塩などの調味料をアップサイクルなアイテムに置き換えるなら、ここ。毎日の食から、エシカルなライフスタイルを取り入れられますね」
有機・無添加食品や自宅で簡単に調理可能なミールキットで知られ、生産現場から食卓まで一貫して食に向き合うオイシックスが取り組むフードロス解決型のブランド。捨てられるはずのブロッコリーの茎がスナックに、バナナの皮はジャムに、梅酒を漬ける際に使われる梅干しはドライフルーツに。非可食部を新たなアイデアで新しい食材に蘇らせる。
トレンドリサーチャー白鳥の「ココがおすすめ!」
「新しい食の楽しみ方や驚きを広げていきながらフードロスも減らしてゆくUpcycle by Oisix。親子で一緒に食への関心を深め、おいしく最後まで食材を活かすというアクションができますよ」
アサヒグループでサステナ事業に取り組むアサヒユウアス株式会社とヨーロッパ発のサステナブルファッションブランド「ECOALF(エコアルフ)」がタッグを組んだ、次世代に向けてサステナブルなライフスタイルを提案する「UPCYCLE B」プロジェクト。第一弾は廃棄コーヒー豆をアップサイクルしたコーヒークラフト「蔵前BLACK」を発表。続く第二弾は、サンドイッチ製造で発生するパンの耳をアップサイクルしたクラフトビール「蔵前WHITE」が誕生した。
トレンドリサーチャー白鳥の「ココがおすすめ!」
「ものづくりの街としての歴史を大切にしながら、時代に合わせたクリエイティビティを発揮する蔵前。ここから生まれた地域循環型のドリンクは、実際にこの街を楽しみながら味わってみたい。エシカルへの興味が低い人も、循環について考えるきっかけになるかもしれませんよ」
海外でもさまざまなブランド・メーカーがアップサイクルに取り組んでいる。「モノを捨てずに、今あるモノを活かす」価値観が広がっていることもあり、アパレルからビューティ、フード、インテリアなど、さまざまなジャンルのアップサイクル商品が生まれ、ブームを呼んでいる。
海外のアップサイクル事例は下記記事で紹介しているので、参考にしてほしい。
「SDGsを意識して、環境に負荷のかからないアップサイクルの商品を選びましょう」とはいっても、環境にいいという動機だけで購入して、結局使わなくなったり捨ててしまったりしては台無し。
しかし、今回挙げた12のブランドはいずれもクオリティにとことんこだわりながら、時流を捉えたハイセンスなアップサイクルアイテムばかりで、感度の高い人もきっと引っかかるものがあるはず。日本で容易に手に入るので、ぜひ参考にしてほしい。
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