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フランスの大手スーパーマーケットのカルフールが、同国初となるヴィーガン肉屋のカウンターをオープンした。世界有数の肉食文化を誇るフランスに、ヴィーガンの潮流が生まれてきている。
今西香月
環境&美容系フリーライター
慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中
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ヴィーガン肉屋のニーズはますます高まっており、シカゴ、ミネアポリス、イギリスといった世界各地でショップが続々オープンしている。こうした菜食主義の流れを受けて、ヴィーガン人口が比較的少ないフランスでも、ヴィーガン肉を扱う肉屋が誕生した。これは同国初の店となる。
オープンしたのは、フランスの大手スーパーマーケットチェーン、「カルフール(Carrefour)」。スーパーの店内の一画に、ヴィーガン肉も購入できる精肉カウンターを設置。ユニリーバが傘下とするオランダのヴィーガン肉ブランド「The Vegetarian Butcher(ベジタリアン ブッチャー)」からヴィーガン肉を仕入れ、販売するという。
カルフールは欧州を中心に12,000以上の店舗を展開する世界トップクラスの小売企業であり、フランス国内市場へのインパクトは大きいものとみられる。
同社はここ数年、ヴィーガントレンドを意識した経営戦略を立ててきた。例えば、持続可能な農業に取り組む生産者を支援するカルフール財団は、ポーランドのプラントベース関連のスタートアップに助成金を支給。
主な出資先には、ジャックフルーツと呼ばれる果物からつくられたビーガンミールキットを販売する「Food Jack(フードジャック)」、わずか5分でプラントベースの食事を準備できる「Yoush(ユーシュ)」、サプライチェーン全体での食品廃棄物削減を目的とする技術系スタートアップの「KuMin.Sys(クミンシス)」がある。
2018年には、パリにあるカルフールで店内商品の3分の1をヴィーガンやオーガニック、グルテンフリーの商品に変更。2021年末には、アマゾンの森林破壊に関連のある、ブラジルの牛肉供給業者との業務提携契約を解消している。
フランスは、牛、鶏、豚、羊、鹿、ウサギといった数多くの肉を消費する肉食文化で有名だ。そのためか、イギリスやアメリカのヴィーガン人口は5%程度といわれるなか、フランスは約1%と少ない。
その理由に、肉類や乳製品などの動物性食品の摂取量が多いが、それによる健康への悪影響が少ない“フレンチ・パラドックス”があるという。フランスの人々は、動物性食品を多く摂取するが、それと同時に新鮮な野菜も多くとる。しかもフランス人が愛するワインに含まれるポリフェノールの効果もあり、肥満率はおよそ1割と低い。
そんなフランスだが、ヴィーガンの肉屋がオープンしたニュースは、フランス人の健康志向や食に対する価値観の変化を物語っているだろう。
現に、過去3年間におけるフランスのヴィーガンやベジタリアン関連商品の売上高は、毎年17%増加している。今後ヴィーガンやベジタリアン市場は、7億ドル近くまで成長すると予想されている。
今後もヴィーガンを求める流れは、さらに世界各国に広がっていくだろう。
※参考
France Gets Its First Vegan Butcher|green queen
France Gets Its First Vegan Butcher Shop|One Green Planet
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