Photo by Veridian at County Farm
米ミシガン州で、ネットゼロを実現する住宅開発プロジェクトが始まった。オール電化で太陽光発電を採用し、ガスの使用は禁止される。物件の価格は18万ドルから90万ドル以上まであり、幅広い所得の人たちが居住できる。
染谷優衣
フリーランスライター
YouTubeのThrift Filp動画をきっかけにサステナブルに興味を持つ。最近は洋服のリメイクを勉強中。リサイクルショップで掘り出し物の古着を見つけるのが好き。
Photo by Veridian at County Farm
世界資源研究所(WRI)によると、地球の平均気温の上昇を1.5℃に抑えるパリ協定の目標を達成するには、2050年までにすべての建物をカーボンニュートラルにする必要がある。しかし現在、カーボンニュートラルな建物に暮らす人の割合は、わずか1%にも満たないという。
そんな現状に対して、アメリカ・ミシガン州で住宅開発プロジェクトが始まった。それが、ネットゼロを実現する「ベリディアン・アット・カウンティ・ファーム(Veridian at County Farm)」だ。
ミシガン州南部の都市アナーバーで、以前は少年拘置所としてつかわれていた約14エーカーの敷地に、全160戸の住宅が建設される。住宅はオール電化で、太陽光発電も採用。ガスの使用は禁止される。また、地域の生態系への影響を最小限にするため、照明の使用やヒートポンプの音など細部まで配慮されている。
敷地の3分の1は農地となり、スーパーマーケットやカフェなども建設予定。電気自動車の充電スタンドや自転車シェアリングサービスもある。
さらに魅力的なのは、建物の価格だ。価格は18万ドル(約2,100万円)から90万ドル(約1億円)以上まであり、住宅のデザインは全部で6つ。全160戸のうち50戸は、地域の低所得やホームレスの経験がある人向けに用意される。このコミュニティは、2023年にオープンされる予定だ。
Photo by Veridian at County Farm
アメリカとカナダでのネットゼロの住宅は、2015年はわずか6,177戸だった。しかし2020年には27,965戸まで6倍以上に増えているという。しかしサステナブルな住宅は高額なものが多く、多くの人々に導入してもらうのは敷居が高いのが現状だ。
その点で、今回紹介したプロジェクトでは低価格帯の住宅もあり、持続可能な生活を実現しやすい。このようなコミュニティ開発や住宅プロジェクトが各地で増えていくことが、今後はさらに求められるのではないだろうか。
※参照
Veridian at County Farm
In Michigan, a new housing project shows that sustainable development isn’t only for the rich
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