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超高画質のストリーミングは、標準画質に比べて最大で8倍の二酸化炭素が排出される。最新の研究によると、7,000万人が動画の画質を下げると、温室効果ガスを月間で最大350万tも削減できるという。環境活動団体のアースデイは、スマホの標準画質である「地球画質」の設定を呼びかけている。
染谷優衣
フリーランスライター
YouTubeのThrift Filp動画をきっかけにサステナブルに興味を持つ。最近は洋服のリメイクを勉強中。リサイクルショップで掘り出し物の古着を見つけるのが好き。
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車や飛行機などで二酸化炭素が排出され、それらが気候変動につながることは、多くの人に知られている。ではデジタルの活動についてはどうだろう。
いまや多くの人にとって日常生活に欠かせないものとなったスマートフォン。SNS、オンラインショッピング、動画コンテンツの視聴など、日常生活の多くの時間でスマートフォンを使っているだろう。しかし、その使用によって二酸化炭素が排出されるという考えは忘れられがちだ。
イギリスの科学研究団体、王立協会の科学者は、「Ultra HD」と呼ばれる超高画質でストリーミングすると、より多くのエネルギーを使うため、標準画質に比べて最大8倍の二酸化炭素を排出すると指摘した。スクリーンサイズの小さいスマートフォンなら、Ultra HDと標準画質の見た目には大きな差はほとんどないという。
そこで、環境活動に取り組む国際団体、アースデイ(Earth Day)は、スマートフォンの標準画質(480p)を「地球画質(Earth Definition)」と呼び、動画を視聴する際はこの地球画質に設定するよう呼びかけている。
ほとんどの動画プラットフォームは、デフォルトで「HD(高精細度ビデオ)」の1080pの画質になっている。だが、これを480pの「地球画質」に変更するだけで、スマートフォンでの視聴にはほとんど影響せず、二酸化炭素の排出量を軽減できる。
アメリカのイエール大学が発表した最新の研究によると、7,000万人のストリーミングサービス加入者が動画の画質を下げるだけで、温室効果ガス排出量を月間で最大350万tも削減可能だという。この人数がさらに多くなれば、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を多く減らすことができるだろう。
以前ELEMINISTで紹介したように、送受信するメールを1日1件減らすだけで、年間で1万t以上の二酸化炭素排出量を抑えられる。
今回紹介した動画ストリーミングも、デジタルでできる小さな積み重ねが、二酸化炭素削減につながるという点で共通する。
画質設定のほかに、下記のような二酸化炭素排出量を削減できるアクションがある。これらはスマートフォンのデータ通信量の削減にもつながる。
・動画はWiFi経由で視聴せず、ダウンロードしてローカルで再生する
・自動再生の設定をOFFにする
一人のアクションによる影響はわずかであっても、それを世界中の何十億もの人が行ったときの影響を想像してみてほしい。小さなことでも、できることから始めてみてはどうだろう。
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