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イギリスだけで年間110億枚のウェットティッシュが使用され、そのうち90%にはプラスチックが含まれているという。プラスチックごみ削減のため、イギリス議会にウェットティッシュの販売禁止を求める法案が提出された。
染谷優衣
フリーランスライター
YouTubeのThrift Filp動画をきっかけにサステナブルに興味を持つ。最近は洋服のリメイクを勉強中。リサイクルショップで掘り出し物の古着を見つけるのが好き。
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イギリス議会で2021年11月、プラスチックを使用したウェットティッシュの販売禁止を求める法案が提案された。
労働党のフルール・アンダーソン議員が提出した通称“ウェットティッシュ法案”は、議会を通過しエリザベス女王の裁可を得ることができれば成立。プラスチックを含むウェットティッシュの製造・販売を禁止することになる。
名前に「ティッシュ」と付いていることから、ウェットティッシュは紙でできていると思われやすい。だが濡れているのに破れやすくならないのは、多くのウェットティッシュにプラスチックが含まれているからだ。
イギリスで使用されるウェットティッシュは、年間110億枚。このうち90%には、プラスチックが含まれているという。これらが分解されるとマイクロプラスチックとなり、野生動物が摂取したり海洋汚染につながったりする恐れがある。
イギリスで毎年開催されるビーチクリーンの活動「グレイトブリティッシュ・ビーチクリーン」で、2005年に回収されたウェットティッシュは、砂浜100mあたり平均1.7枚だった。しかし2020年では平均18枚にまで増加した。
アンダーソン議員は、このように捨てられたウェットティッシュが川岸につもり、川の形を変化させていると指摘。ウェットティッシュを禁止する法律の必要性を訴えている。
「このようなプラスチックごみが大量に地域にもたらされると、その被害は極めて甚大なものになる。プラスチックごみだけで毎年1億もの動物が死んでいると言われている。この問題は規模もダメージも非常に大きく、急速に増大しているため、法律が必要だ」
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アンダーソン議員は、自身が4人の子どもを育てており、ウェットティッシュがいかに便利なのものかよく理解しているという。そのうえで、現状を変えるためのアクションが必要であると、法案を提出した。
この法律が制定されれば、プラスチック不使用のウェットティッシュの需要が増え、価格が下がる可能性が高いと期待を寄せる。そうすれば、プラスチックごみの量をさらに減らせるという考えだ。
代替品でプラスチックごみが減ることはもちろん素晴らしいが、消費者として心がけたいのは、そもそもの消費を減らすこと。プラスチック不使用のウェットティッシュだけに頼らず、布巾を濡らして使うなど、繰り返し使えるものを意識して選択していきたい。
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