Photo by neutral
アメリカで、カーボンニュートラルな牛乳が販売されている。その名も「ニュートラル」だ。同社は研究者と協力して、乳製品の二酸化炭素排出量を調査。可能な限り二酸化炭素排出量を削減し、残りをオフセットすることで、各製品をカーボンニュートラルにしている。
染谷優衣
フリーランスライター
YouTubeのThrift Filp動画をきっかけにサステナブルに興味を持つ。最近は洋服のリメイクを勉強中。リサイクルショップで掘り出し物の古着を見つけるのが好き。
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オレゴン州ポートランドの「neutral(ニュートラル)」の牛乳パックには、「This milk fights climate change(この牛乳は気候変動と闘います)」と書かれている。同社は、酪農家と協力して可能な限り二酸化炭素排出量を削減。排出した分はオフセットすることで、製品をカーボンニュートラルにしている。
ニュートラル社は研究者とともに、牛の飼料栽培に使われる肥料、牛のゲップや糞尿に含まれるメタンガス、農場や瓶詰め工場で使用される電力、牛乳パックが廃棄された後まで追跡し、二酸化炭素排出量を調査。酪農家だけでは対処できない部分にも、同社が費用を負担し、二酸化炭素削減を行っている。
畜産業は二酸化炭素排出量が多いことで知られている。同社によると、牛乳を含め牛由来の製品の生産で排出される二酸化炭素は、世界の排出量の10%を占めている。酪農家のなかには二酸化炭素削減の取り組みを始めている人はいるが、多くの酪農家でまだ改善の余地があるという。
そこで同社では、牛から産生されるメタンガスを削減する取り組みを実施。例えば、2021年秋にはオレゴン州の酪農家3軒と協力して、牧草地にタンニンを多く含む植物を植えた。タンニンは牛のメタンガス産生を抑制するといわれている。また、メタンガスの発生源である糞尿を管理する新しいシステムを、酪農家と共同で導入している。
ニュートラル社では、海藻を飼料に混ぜてメタンを削減するといった方法も検討中だ。同社のマーカス・ラベル・スミスCEOは、「テクノロジーにとらわれないアプローチをしていく」とコメントしている。
さらに同社では、二酸化炭素削減のほかに、アニマルウェルフェアにも注力。提携する酪農家では、牛にバランスのとれた飼料を与え、ワクチン投与などの適切なケアを行い、虐待を禁止する基本的な方針を取り入れている。
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米国家庭の93%の冷蔵庫には牛乳が入っているといわれており、植物性ミルクが急速に売り上げを伸ばしているが、その数はまだ乳製品には及ばない。
そのためスミスCEOは、世界共通の食材である乳製品からカーボンニュートラルの取り組みを始めることが重要だと考えている。
畜産業の環境負荷が高いことから代替品を利用することはもちろん大切だが、根本的な気候変動の原因を知り、それと向き合うことも、持続可能な社会を築く上で大切なことだろう。
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