クロエがB Corp認証を取得　ラグジュアリーブランドとして初

サステナブルな企業を認証する「B Corp」

サステナブルな企業のゴールドスタンダードとされ、厳しい認定条件をクリアした企業のみが認証を受ける「B Corp（Bコープ）」。2021年９月、フランス発のファッションブランドのクロエ（Chloe）が、このB Corp認証を取得した。ラグジュアリーブランドとして、初めての認証企業となる。

B Corpは、社会や環境に配慮した公益性の高い企業に対する国際的な認証制度。認証を受けるには、オンライン認証試験「B Impact Assessment（Bインパクト・アセスメント）」を受け、200の質問のうち80点以上を獲得する必要があり、非常に厳しい認証制度として知られている。

クロエはB Corpの認証取得に向けて、2020年より「Women Forward for a Fairer Future（公平な未来に向けた女性の前進）」をミッションステートメントとして掲げ、ビジネスモデルの再構築を進めてきた。

高いクリエイティビティに加えて、目的意識をもち、コミュニティに根ざし、説明責任を果たすことができるビジネスモデルを推進。

2020年11月の段階には、損益計算書の作成や専門家による諮問委員会の設置の取り組みを発表。ビジネスを通して社会問題の解決を目指す社会起業家を、サプライチェーンに組み込むことなど、さまざまな施策に取り組んできた。

さらに、サステナブルに精通したガブリエラ・ハースト（Gabriela Hearst) をクリエイティブ・ディレクターに起用。2022年春のコレクションでは、環境負荷の低い素材を全体の58％で採用した。

例えば、余った生地を使ったコレクション、海で回収された古いビーチサンダルをアップサイクルしてつくったビーチサンダルなどだ。新しく発表したスニーカー「Nama」は、従来品に比べ水の使用量を80％、温室効果ガスの排出量を35％削減している。

その他にも、フェアトレード認証を受けた社会的企業とのパートナーシップや、従業員へのボランティア活動の奨励など、多くの取り組みを積極的に実施。

クロエCEOのリカルド・ベリーニ（Riccardo Bellini）は、「認証基準を満たすための取り組みは予想以上に困難だった。しかしビジネスの変革を形づくるのに役立った」と述べている。

ファッション業界で進むサステナビリティ

現在、B Corpを取得する企業は世界に4,000社あまり。そのうち約200社がアパレル、ジュエリー、フットウェアの企業で、近年アパレル関連企業の取得が増えているという。アパレルでB Corpを取得しているブランドには、パタゴニア、オールバーズ、トムズなどがある。

シーズンごとにデザインや素材を変え、常に流行をつくり続けるファッション業界は、サステナブルに反する存在と思われやすい。しかし、そのような最先端のファッションを牽引してきたクロエがB Corpを取得したことは、業界にとって大きな出来事と受け止められているだろう。

今後のファッションの在り方や存在が大きく変わっていく、ひとつのきっかけになるかもしれない。

※参考
Chloé Attains B Corp Certification | WWD
https://wwd.com/sustainability/business/chloe-attains-b-corp-certification-1234976243/
Chloé Is the First Luxury Fashion House to Earn a B Corp Certification | VOGUE
https://www.vogue.com/article/chloe-b-corp-certification-sustainability
As Chloé Becomes Luxury’s First B Corp, What Does the Increasingly Popular Certification Really Entail? | The Fashion Law
https://www.thefashionlaw.com/as-chloe-becomes-a-b-corp-what-does-the-increasingly-popular-certification-really-entail/
クロエはB Corp認証を取得しました | Chloé
https://www.chloe.com/experience/jp/chloegirls/chloe-just-achieved-b-corp-certification/