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マイクロソフトは、投資家団体のAs You Sowが提出した「修理する権利」の取り組みに合意。同社は2022年末までに、消費者の修理の選択肢を増やすよう対応する。大手マイクロソフトの今回の同意で、テック業界に大きな影響を与えるものと期待される。
小原 ゆゆ (Yuyu Obara)
ライター / インターン
上智大学総合グローバル学部在学中。 エストニアへの渡航をきっかけに、ヨーロッパの持続可能なライフスタイルに関心を持つ。 趣味は旅行、おかし作り、映画鑑賞。
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「修理する権利」とは、パソコンやスマートフォンなどが故障した際、消費者が自分で選んだ方法で修理できる権利のことをいう。これまではメーカーが修理方法や修理業者を独占していた。しかし、修理方法などを自由に選ぶ権利は消費者側にあるとして、「修理する権利」を法案化する運動が世界で盛んに行われている。
EUは2020年11月に、消費者の「修理する権利」を支持する規則案を採択。アメリカでは2021年7月にジョー・バイデン大統領が、「修理する権利」の立案に向けて積極的な姿勢を示した。
この「修理する権利」に向けて、大きな一歩を踏み出したのがマイクロソフトだ。同社は2021年10月、投資家擁護団体のAs You Sowが提出した「修理する権利」の取り組みに応じ、2022年末までに消費者の修理の選択肢を増やすことで合意した。
この合意で、マイクロソフトは以下の取り組みを開始。これにより、消費者は同社が認定する修理業者以外でも、修理を依頼することが可能になる。
・第三者機関により、消費者の修理増加にともなう環境や社会への影響について、調査を行う。
・修理しやすくするため、同社の「Surface」と「Xbox」などに新しいメカニズム整える。
・同社が認定するサービスプロバイダー以外の修理業者にも、部品や修理に関する書類を提供する。
・消費者が自分の地域で修理できる選択肢を広げられるように、新しいメカニズムを整える。
世界経済フォーラムの2019年の報告書によると、パソコンやスマートフォンなどの電子機器は、世界でもっとも急速に増加している廃棄物だ。
さらに電子機器から排出されるCO2の大部分は、製造時に発生する。そのため、修理によって機器の寿命を延ばすことは、電子廃棄物の削減だけでなく、CO2削減にもつながると期待できる。
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As You Sowは、「今回のマイクロソフトとの合意は、各地で盛んになっている『修理する権利』を推進する運動に、心強い一歩となった」と述べている。
一方で、アップル、アマゾン、グーグルなどのテック大手は、「修理する権利」の法案成立に反対していることが報じられている。投資家たちからの要望でマイクロソフトが「修理する権利」に合意したことは、テック業界に大きなインパクトをもたらすのではないだろうか。
※参考
Microsoft Agrees to Expand Consumers’ Repair Options | As You Sow
https://www.asyousow.org/press-releases/2021/10/7/microsoft-agrees-expand-consumers-repair-options
Microsoft Corporation: Sustainability Policies for Electronic Waste | As You Sow
https://www.asyousow.org/resolutions/2021/06/16-microsoft-sustainability-policies-for-electronic-waste
Bowing to investors, Microsoft will make its devices easier to fix | Grist
https://grist.org/accountability/bowing-to-investors-microsoft-will-make-its-devices-easier-to-fix/
Microsoft has promised to actively look into right to repair | The verge
https://www.theverge.com/2021/10/7/22715241/microsoft-as-you-sow-right-to-repair-study-agreement
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