スロートラベルは、従来型の観光では満足できない人向けの、新しい旅の形だ。心癒やされ、より充実した体験が魅力のスロートラベル。具体的にどのようなものなのか、学んでみよう。スロートラベルの例や始め方まで、詳しく解説する。
ELEMINIST Editor
エレミニスト編集部
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スロートラベルとは、自分自身の意志によって、見たい場所をゆっくりと巡ったり、現地での体験を大切にしたりする旅行スタイルを指す。
これまでの「観光」と言えば、「地域の有名な場所を駆け足で巡る」という形式が一般的であった。こうした観光スタイルに疲弊し、「もっと自分のペースで、さまざまなものを見たり経験したりしたい」という希望を持つ人に、高く支持されている。
スロートラベルの概念はまだはっきりしていないが、エコツーリズムと同様に、地域社会や環境と深く関わっている旅行である。旅行で訪れた土地の魅力の表面だけをなぞるのではなく、地域社会と積極的に関わったり、自発的に学んだりすることが目的と言えるだろう。
従来型の観光スタイルを「広く浅く」と表現するなら、スロートラベルは「狭く深く」だ。スローライフやスローフード、スローファッションなどと、同じ概念のもとで生まれた旅行である。
スロートラベルの例は以下のとおりである。より身近に感じてみよう。
・あえて観光地を外れて、自分のお気に入りの場所を探してみる旅行
・農家や牧場など、地域の人々が働く場所でアクティビティに参加する旅行
・地域特有のローカル文化に焦点をあて、自分なりの視点で楽しむ旅行
・観光用に用意された催しではなく、その土地の本来の姿を知り、学べる旅行
スロートラベルでは、「訪れた土地でゆったりとした時間を過ごす」こともポイントとなる。自らの視点でより深い体験をしようと思えば、ある程度の時間が必要になるためだ。
またスロートラベルには、明確な旅行日程が定まっていないケースも多い。人とは違う体験や、自分の好奇心を満たしてくれるものを求めて、自由に移動できる点も特徴と言えるだろう。
スロートラベルに注目する人が増えている理由は、そのメリットにある。具体的には、以下のようなメリットが挙げられるだろう。
・旅行に関するストレスを緩和し、リラックスして過ごせる
・訪れた先々で、地域の人々とより深いつながりを得られる
・人とは違う、自分だけの経験ができる
・観光地以外においても、観光による利益が生まれる
・地域の環境や地域住民への負荷を軽減できる
数多くの観光地を駆け足で巡る旅行をした際に、「スケジュールをこなすのに精いっぱいで、何を見たのかよく覚えていない」といった経験はないだろうか。いろいろな場所を巡るためには、移動時間も必要となる。体力的・精神的な負担も、増えてしまうだろう。スロートラベルでは、こうした負担を排除できる。
訪れた土地で、これまでよりも深い体験・つながりを得られる点も、スロートラベルならではの魅力である。
どのような体験・つながりを求めるのかは、自分しだい。同じ場所に出かけても、スロートラベルで体験する内容は、みんな違っているはずだ。「自分だけの特別な経験」は、従来型の「万人向け観光スタイル」にはない満足感をもたらしてくれるだろう。
またスロートラベルは、旅行者だけではなく、旅行者を受け入れる側の地域社会にも数多くのメリットをもたらす。旅行客がさまざまなエリアに分散すれば、観光地の環境や地域住民への負荷は軽減するだろう。これまで観光客が訪れなかった地域に、新たに人が訪れるようになれば、経済効果も生まれるはずだ。
これまで、スロートラベルと言えば、「海外旅行」で注目されがちな旅行スタイルであった。海外旅行が難しいいま、日本国内でスロートラベルを実践してみてはどうだろうか。スロートラベルを気軽に楽しむためのヒントを伝えよう。
海外旅行でスロートラベルを楽しむためには、やはりそれなりの日数が必要となる。しかし国内旅行であれば、日帰りでもスロートラベルを楽しめるだろう。
・日帰りプラン → 地元で開催される自然探求イベントに参加してみる
・1~2泊プラン → 自宅から2~3時間のエリアで滞在型旅行を企画してみる
・5~6泊プラン → 以前から行ってみたかった場所や興味を持った歴史・文化について学びながら旅行する
自分が住んでいる地域についても、まだまだ知らないことは多いはずだ。自然・文化・歴史など、スロートラベルにつながるアクティビティは意外と多い。自治体の催しものにも注目してみよう。まとまった休みが取れなくても、充実した経験ができるはずだ。
スロートラベルに慣れていない場合、旅行先は興味の持てる企画やイベント、アクティビティを中心に選択するのがおすすめだ。興味を持てるものを見つけたら、そこが旅の目的地になるだろう。
「それもなかなか見つけられない…」という場合には、各種体験メニューを売りにした宿泊施設を選択するといいだろう。
・農業体験付き宿泊施設
・漁業体験付き宿泊施設
・酪農体験付き宿泊施設
こうした宿泊施設であれば、宿泊先を確保した上で、その土地ならではの自然な生き方・文化を体験の中で学べるだろう。宿泊先と体験場所が同一になれば、時間の余裕も生まれるはずだ。
スロートラベルの申し込み方法は、旅行プランによってさまざまである。
・インターネット
・申し込み用紙の郵送
・電話
初心者にもハードルが低いのは、やはりインターネットだろう。興味を持てるプランを、気軽に検索してみよう。
「これまでの観光旅行ではもの足りない」「せっかくだから、特別な経験をしたい」という人を中心に、人気が高まっているスロートラベル。派手な観光地ではなくても、その土地ならではの魅力というのは、どこにでも存在するものだ。地域の文化や、人々とのつながりに着目すれば、これまでとは違った形の「旅」が見えてくるだろう。
スロートラベルは、日本国内でも気軽に挑戦可能である。気になったら、まずは一度体験してみてはどうだろうか。
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