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イギリスの競争・市場庁(CMA)は、環境対策をうたう企業や商品の表現に関するガイドライン「グリーン・クレーム・コード」を発表した。誤解を招く表現や、見せかけだけの環境対策を主張する「グリーンウォッシュ」から、消費者を守ることが目的だ。
染谷優衣
フリーランスライター
YouTubeのThrift Filp動画をきっかけにサステナブルに興味を持つ。最近は洋服のリメイクを勉強中。リサイクルショップで掘り出し物の古着を見つけるのが好き。
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イギリスの競争・市場庁(CMA)は2021年9月20日、企業が環境対策をうたう際、その表現に関する指針を示したガイドライン「グリーン・クレーム・コード」を制定した。
目的は、消費者に誤解を招く表現で生じるリスクを軽減し、裏付けがないのに環境に配慮したと主張する「グリーンウォッシュ」の懸念を払拭することだ。さらに、市場に公平な競争環境をもたらすことを狙いとしている。
このガイドラインを制定することになったのは、環境対策の表現に関するCMAの調査がきっかけだ。無作為に抽出したウェブサイトのうち40%で、消費者に誤解を与えかねない表現が見つかった。そのため、今回のガイドラインを制作するに至ったという。
「グリーン・クレーム・コード」は、既存の消費者法にもとづき、以下の6つの原則を定めている。
(1)真実かつ正確であること
企業は、自社の製品、サービス、ブランド、活動についての主張を実行しなければならない。
(2)明瞭であること
消費者が製品の表現から受け取るであろう意味と、その製品の信頼性が一致しなければならない。
(3)重要な情報を省略・隠蔽しないこと
消費者が製品を選択する上で、十分な情報を得られない表示であってはならない。
(4)公平で意味のある比較のみを行うこと
製品を比較する場合、同じニーズを満たしている商品か、同じ目的を持っている商品を比較する必要がある。
(5)製品の全ライフサイクルを考慮すること
環境対策に関する主張を行う場合は、製品やサービスのすべてのライフサイクルにおける影響を考慮しなければならない。特定の工程や側面だけに焦点を当てると、誤解を招く恐れがある。
(6)立証されていること
企業が行う環境対策への主張は、信頼性のある証拠で裏付ける必要がある。
このガイドラインは、すべての分野の製品およびサービスに適用され、広告、製品ラベル、パッケージなどが対象となる。
CMAは2022年初頭に、オンラインショップと実店舗における店頭での表現について、全面的な見直しを行う。また改善の必要性が高い業界から優先的に見直しを進める予定だ。
昨今は消費者の意識が高まり、価格を重視するのではなく、「環境にいいものを選びたい」という人が増えてきている。そして企業側はそのようなニーズに応えるため、環境に配慮した商品を増やしている。
しかし需要の高まりに応じて、グリーンウォッシュと見られる商品やサービスが増えていく懸念もある。そのため、今回のイギリスのガイドラインのように、消費者に正しい情報を提供する動きは、今後も世界で増えていくだろう。
※参考
Greenwashing: CMA puts businesses on notice|Gov.UK
https://www.gov.uk/government/news/greenwashing-cma-puts-businesses-on-notice
UK CMA publishes Green Claims Code to combat ‘greenwashing’|Lexology
https://www.lexology.com/library/detail.aspx?g=5bbec25b-1130-40fd-baab-7996a0951d1c
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