Photo by Luis Vidal on Unsplash
イギリスがフカヒレの輸出入を全面禁止した。缶詰のフカヒレスープなど、フカヒレを含むすべての製品が対象となる。サメの多くが絶滅危惧種に指定されており、さらに残酷な漁での乱獲が長年問題視されてきた。今回の法律で、動物福祉を推進するイギリスが世界に強いメッセージを発信することになる。
染谷優衣
フリーランスライター
YouTubeのThrift Filp動画をきっかけにサステナブルに興味を持つ。最近は洋服のリメイクを勉強中。リサイクルショップで掘り出し物の古着を見つけるのが好き。
知識をもって体験することで地球を変える|ELEMINIST Followersのビーチクリーンレポート
Photo by Gerald Schömbs on Unsplash
イギリス政府は2021年8月15日、フカヒレの輸出入を禁止する新しい法律を制定した。缶詰のフカヒレスープなど、フカヒレが使われている製品はすべて対象となる。イギリスは、フカヒレを広範囲で規制する世界初の国だ。
フカヒレ漁で長年問題視されてきたのが、シャークフィニングと呼ばれる方法だ。これは、サメからヒレだけを切り取り、その後サメを再び海に戻すという残酷なやり方。ヒレを失ったサメは当然泳ぐことができないため、そのまま死んでしまうという。
この方法はすでに多くの国で規制されており、イギリスでも20年以上前から禁止されてきた。とはいえ、シャークフィニングがいまだに行われているケースがある。フカヒレの交易を認めることは、間接的にこのような漁法に加担することから、イギリスでは今回の立法に至ったという。
サメの保護活動を行うイギリスの団体「シャーク・トラスト」は、この法律制定を受けて以下のようにコメントしている。
「イギリスが、サメやエイの乱獲を引き起こすフカヒレの交易対策に取り組んでいることは、とても勇気づけられることだ。イギリスの取り組みが、国内外のサメ保護問題への取り組み強化につながることに期待している」
世界に500種類以上いると言われるサメのうち、143種類が国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種リストに登録されている。このなかには、フカヒレを狙った乱獲のため数が激減したアオザメとヨシキリザメが含まれており、今回の規制によってこれらの保全につながると期待されている。
イギリスはEU離脱後の2021年5月、家畜や野生動物を含む動物たちの愛護を求める
取り組み「アクションプラン・フォー・アニマル・ウェルフェア」を発表。フカヒレ輸出入禁止の法案はこの施策の一環となる。
今回のフカヒレ輸出入禁止の取り組みは、乱獲数の減少につながることはもちろん、フカヒレ関連産業や世界に対して強いメッセージとなることだろう。
※参考
Government to introduce world-leading ban on shark fin trade|GOV.UK
https://www.gov.uk/government/news/government-to-introduce-world-leading-ban-on-shark-fin-trade
UK Becomes First Nation to Ban the Shark Fin Trade|LIVEKINDLY
https://www.livekindly.co/uk-ban-shark-fin-trade/
Action Plan for Animal Welfare|GOV.UK
https://www.gov.uk/government/publications/action-plan-for-animal-welfare
ELEMINIST Recommends