Photo by Leo Rivas on Unsplash
国際ガールズデーとは、国連が女の子のエンパワーメントを目的に制定した日。主に発展途上国では、学校に通えず、児童婚や望まない妊娠を経験する女の子がいる。そのような女の子たちの権利を守り、地位向上を目指す日だ。この日を記念して、日本や海外で行われているイベントについて紹介する。
ELEMINIST Editor
エレミニスト編集部
日本をはじめ、世界中から厳選された最新のサステナブルな情報をエレミニスト独自の目線からお届けします。エシカル&ミニマルな暮らしと消費、サステナブルな生き方をガイドします。
Photo by Caroline Hernandez on Unsplash
「国際ガールズデー」は、女の子の権利やエンパワーメントを目的に、国連が定めた記念日だ。世界中の女の子たちの教育を受ける権利を守り、社会的地位の向上をめざすため、2011年12月に制定された。毎年10月11日の国際ガールズデーには、世界各国で記念行事が行われている。
国際ガールズデーが制定された目的は、「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標にも共通する。たとえば、目標4は「質の高い教育をみんなに」、目標5は「ジェンダー平等を実現しよう」だ。だれもが公平に教育を受け、さらにすべての女の子に対する差別や不平等をなくすことを目標として掲げている。
国際ガールズデーと似た記念日に、3月8日の「国際女性デー(国際女性の日)」がある。これは、女性の権利を守り、女性の地位向上や女性の活躍を支援するために、国連が制定した日だ。これに対して、国際ガールズデーは未成年の女の子たちを支援するために制定されている。
国際ガールズデーが制定された背景には、主に発展途上国の女の子たちが抱えるさまざまな問題がある。例えば、経済的や文化的な理由で女の子は学校に通えず、若いうちに強制結婚させられ、出産するケースがある。
しかし女の子が適切な教育を受けることができれば、将来の夢をかなえる力をつけることができる。そこで女の子たちの権利を守り、教育や雇用を受けられるよう支援するために、国際ガールズデーが制定された。
Photo by Rainier Ridao on Unsplash
発展途上国では、経済的な理由で子どもが学校に通えないケースや、近くに学校がないケースがある。それに加え、「女の子は将来結婚して稼ぎ手にならないため、教育は必要ない」という考えが根強い地域がある。
そのような地域では、女の子だからという理由だけで、学校に通って学習する場が奪われている。たとえばパキスタンの農村部では、10歳以上の識字率は、男性64%に対して、女性はわずか42%だ。(※1)
文字の読み書きや計算といった基本的な知識を身につけられないと、大人になったときの職業の選択肢が限られてしまう。しかし適切な教育を受けられるなら、多くの知識を得て、将来就ける仕事の幅が広がり収入増加につながる。
発展途上国では、経済面や文化的理由から、未成年の女の子が強制的に結婚されるケースが多い。2018年に18歳以下で結婚した女の子は、世界に約1000万人いる。(※2)とくに貧困が厳しい家庭では、結婚による収入増加を期待して、たとえ未成年での結婚は認められていなくても、強制的に女の子を結婚させる場合があるという。
児童婚の問題と重なるが、未成年で望まない妊娠を経験する女の子の問題もある。発展途上国で2018年に、15歳から19歳で妊娠した女の子は約2,100万人にものぼる。(※2)このなかには、暴力的な行為で妊娠にいたったケースもあるとみられる。さらに、HIV感染のリスクがある。
アフリカ、中東、アジアなどの一部の国では、女の子の性器の一部を切除する慣習がある。女性性器切除(female genital mutilation、FGM)を経験した女の子は、世界30か国で少なくとも2億人におよび、そのうち4,400万人は15歳未満という。(※3)
FGMを受けると、出血が続き感染症や不妊のリスクがあり、さらに心身へ長期的な影響を及ぼすことが懸念されている。
公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパンが行うイベント。六本木周辺の賛同企業でフライヤーを配布し、国際ガールズデーの認知拡大を目指した。
Photo by International Day of the Girl Child 2020 in Roppongi
JICA(国際協力機構)では毎年、国際ガールズデーにさまざまなイベントを開催している。2020年には、元アスリートの高橋尚子さん、伊達公子さん、為末大さんなどが、世界中でがんばっている女の子を応援する特別メッセージをYouTubeで紹介した。
NIKE(ナイキ)は2020年の国際ガールズデーを記念して、女の子がスポーツを楽しめる未来を目指したグローバルキャンペーンを展開。NIKEのランニングアプリを使って1㎞以上走るチャレンジは、世界中の人々が参加した。
フィンランドでは2020年の国際ガールズデーで、16歳の女の子が「1日首相」をつとめるユニークな取り組みが行われた。首相体験を行った女の子は、気候変動や人権問題に向けた活動を行っており、議員や閣僚と意見交換などを行ったという。
平和な日本で暮らしていると、学校に通えない子どもがいることや、児童婚を強制させられている女の子がいることは、信じられないと思うかもしれない。しかし発展途上国では、女の子が厳しい環境で生活を強いられている現実がある。国際ガールズデーは、そんな実態に私たちが目を向け、自分たちにできることを考えるひとつのきっかけとなるはずだ。
※1 10月11日は国際ガールズデー|国際協力機構https://www.jica.go.jp/topics/2020/20201008_01.html
※2 国際ガールズ・デー 2018|UN Women 日本事務所
https://japan.unwomen.org/ja/news-and-events/in-focus/international-day-of-the-girl-child/2018
※3 女性性器切除(FGM)|ユニセフ
https://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_act04_03.html
ELEMINIST Recommends