米・バークレー市議会は、2024年までに市が購入する動物性食品を50%削減し、植物性食品と置き換えることを決議。その後も植物性食品を100%にする長期的な目標を掲げた。この動きをバックアップしたのが、複数の動物権利団体。市民の声が行政を動かし、歴史的な一歩につながった。
染谷優衣
フリーランスライター
YouTubeのThrift Filp動画をきっかけにサステナブルに興味を持つ。最近は洋服のリメイクを勉強中。リサイクルショップで掘り出し物の古着を見つけるのが好き。
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米・バークレー市議会は2021年7月下旬、市が購入する動物性食品の50%を2024年までに植物性食品に置き換えることを決議。2024年以降も動物性食品の購入を段階的に廃止し、すべて植物性食品に置き換える長期的な目標も掲げた。バークレー市の刑務所など、複数の市営施設での植物性食品の導入が決まった。
自治体主導でヴィーガン食の導入を打ち出したのは、バークレー市が米国内初となる。
決議文によると、温室効果ガス排出量のうち約25%は食品から排出されており、気候変動の大きな要因になっているという。しかも肉や乳製品は、温室効果ガスの排出量が多い。
「動物性食品の消費を大幅に抑制しなければ、世界の温室効果ガス削減目標を達成できないことは明らかです。米国は肉の消費量が多く、一人当たりの世界平均消費量の2.6倍の肉を消費しており、この責任を負わなければなりません」
これまでも、環境問題に対し先陣を切って行動を起こしてきたバークレー市。2018年には、毎週月曜日に動物性食品を摂取しないことを推進する「ヴィーガン・マンデー」を採用した米国の最初の都市でもある(※1)。
また2017年には市内での毛皮の販売を禁止。ウェストハリウッドに続く、国内で2番目に毛皮販売を廃止する都市となった(※2)。そのほか、リサイクルプログラムを1970年前後にいち早く採用し、2013年には化石燃料事業を行う企業への出資を廃止するなど、数々の取り組みを行っている。
バークレー市でこの決議をとった目的は2つ。畜産業からの脱却によって気候危機に立ち向かうルートを確立することと、他の都市が同様の変更を行うための前例をつくること。
ジェシー・アレギン(Jesse Arreguín)市長は、「これは、気候変動対策の一環として、また、バークレー市が動物の人道的な扱いを推進してきた長い伝統の上に成り立つ、市にとっても非常に重要な一歩です」とコメントした。
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この決議を可能にしたのは、バークレー市を拠点とする動物愛護団体「Direct Action Everywhere」を中心とした複数の動物権利団体。およそ16ヶ月間に渡る抗議の結果実現した、まさに努力の賜物だ。市民からの強い要望があれば、実際に行政が動いてくれる柔軟さがアメリカのいいところだろう。
現在彼らは、その他の都市でも同様の決議をするよう働きかけている。すでにサンフランシスコでは、畜産業脱却に関する動きが進められている。
「Direct Action Everywhere」のリード・オーガナイザーであるアルミラ・タナ―(Almira Tanner)は、「この歴史的な一歩によって、地球上のすべての生命を守るために、法律制定の動きが生まれることを期待しています」と述べている。
※参照
Berkeley Becomes First U.S. City to Commit to Exclusively Plant-Based Food Purchases|Direct Action Everywhere
https://www.directactioneverywhere.com/press-kit
※1 Berkeley Becomes First U.S. City To Adopt Vegan ‘Green Monday’ Campaign|Green Monday
https://greenmonday.org/en/berkeley-becomes-first-u-s-city-to-adopt-vegan-green-monday-campaign/
※2 Berkeley, California, Becomes Second U.S. City to Ban Sale of Fur Clothing | Animal Legal Defense Fund
https://aldf.org/article/berkeley-california-becomes-second-u-s-city-to-ban-sale-of-fur-clothing/
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