デンマークに誕生したバーラウンジ「The Braunstein Taphouse」は、解体を前提にデザインされた建築物だ。もし建物が建てられた場所が、水面上昇や集客の減少などでビジネスに向かない場所になったとしても、建物ごと転居、もしくはほかの物件に部品を再利用ができる。
染谷優衣
フリーランスライター
YouTubeのThrift Filp動画をきっかけにサステナブルに興味を持つ。最近は洋服のリメイクを勉強中。リサイクルショップで掘り出し物の古着を見つけるのが好き。
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Photo by photo by Rasmus Hjortshoj
地球温暖化による海面上昇の脅威を考えると、水際の物件は投資先として優秀とは言い難い。そんな状況をチャンスに変えるバーラウンジが、デンマーク・コペンハーゲンの南方に位置するケーエに誕生した。
同国のデザインスタジオ「ADAPT(アダプト)」が手がけた「The Braunstein Taphouse」のもっとも特筆すべきポイントは、”解体されるためにデザインされた”ということ。溶接やガス圧接を必要としない、はめ込み型の機械式継手を使用しているため、簡単に建設と分解が可能だ。
もし水面上昇や集客の減少などで、ビジネスを続けるのに不適切な場所になった際は、建物ごと転居、もしくはほかの物件に部品を再利用できる。
使用する電力は太陽光パネルを使って自家発電。また窓を多く設けることで自然光を取り込みやすくし、電力の消費を抑えている。
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使われた材料は極力混ざらないようにされており、バーラウンジとして役目を終えたあとも、なるべく少ない行程でリサイクルできるようになっている。建設廃棄物も削減できるという。
床には近隣の床メーカーで発生した製品廃棄物を使用。正面部の木材は「Cradle2Cradle」にも認証された、地上なら50年以上も腐らないとされる「アコヤ材」が使われている。
気候変動というのは、建築に新たな視点を必要とさせる。洪水や暴風雨、海面上昇などの影響を受ける地域にある建物が持続可能性を持つためには、これらの変化に対応できるよう設計する必要があるのだ。
数十年後、その場所に住めなくなるような事態になれば、建物の携帯性も重要になってくるだろう。再利用や移動が容易な「The Braunstein Taphouse」はそんな未来の先駆けであり、このように設計された建物が増える可能性は大いにあるといえる。
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