青山一丁目「The Burn」のエグゼクティブ・シェフ米澤文雄氏が出版した、ヴィーガン・レシピ本『Vegan Recipes』。中南米、アジア、イスラムの食文化もミックスした、心も体も満たされるヴィーガン料理90品を紹介している。
ELEMINIST Press
最新ニュース配信(毎日更新)
サステナブルに関わる国内外のニュース、ブランド紹介、イベントや製品発売などの最新情報をお届けします。
『ヴィーガン・レシピ Vegan Recipes』 2,800円
青山一丁目にある「The Burn」のエグゼクティブ・シェフ米澤文雄氏が出版した、ヴィーガンレジピ本『ヴィーガン・レシピ Vegan Recipes』。ヴィーガン料理のイメージを覆す、見た目にも美しい、心も体も満たしてくれるヴィーガン料理90品のレシピが紹介されている。
紹介されている90品は、アミューズ、前菜、メインディッシュ、炭水化物、そしてデザートやドリンクまで一通り揃っている。中南米、アジア、イスラムの食文化をミックスし、香辛料やハーブを使いこなしたレシピは華やかなものばかりだ。
世界中でヴィーガン料理の認知が年々高まっているとはいえ、どうして肉料理を看板メニューとするレストランのシェフがヴィーガン料理のレシピを出版したのか疑問を抱く人も多いだろう。
そもそもヴィーガンとは、ベジタリアン(菜食主義者)のなかでも、ハチミツ、ゼラチンなどの動物性食品を一切食べない完全菜食主義のことをいう。これは単に動物性食品が嫌いなのではなく「人間は動物を摂取することなく生きるべきだ」という思想に基づくものだ。
このレシピ本を出版するにあたり、米澤氏はこう述べている。「さまざまな理由で“食の制限”がある人にも、それぞれが楽しめる食事を提供したい。食べる側の多様性を受け止める料理人でありたい」。
米澤氏が日本人初のスー・シェフ(副料理長)を務めた「Jean-Georges(ジャン・ジョルジュ)」はニューヨークでいち早くヴィーガン・メニューを提供しはじめたことで有名だ。世界中からさまざまな考えをもった人が集まっていたというこのレストランで培った経験が、出版への思いにつながっているのかもしれない。
米澤氏がエグゼクティブシェフを務める「The Burn」では、コース料理は設けず、大皿に盛られた料理をシェアして楽しむ。現代のニューヨークで親しまれているような、あえて雑多な雰囲気のなかで食事を楽しむスタイルにこだわっているのだ。
気軽に訪れやすい場所でありながら、提供される料理の食材は生産者にまで目を行き渡らせた選りすぐりのものばかり。茨城の農園で栽培される無農薬野菜、広島の生牡蠣、長野の放牧豚、すべて米澤氏自ら足を運びチョイスしたものだ。
レストラン、生産者、両者が生み出すハーモニーをこの先も続けていきたいという想いが「Sustainable Grill Restaurant」と店名に添えられている言葉に込められている。こうした食文化への想いも今回のレシピ本出版にもつながっているのだろう。
米澤氏は「肉を提供するからこそ、食肉用の動物を育てるために必要な水や飼料の問題、温室効果ガス排出の問題に無関心でいるわけにはいきません。
料理人として、肉は肉でやはり魅力的な食材だと感じ、使い続けていきたいからこそ“Less meat, more vegetable”という考えを併せ持ちたいということも、ヴィーガンの料理をつくる理由のひとつです」と話している。
ヴィーガン料理と聞くと、材料の入手や調理法も難しいイメージを抱きがちである。でも、本書では使いやすい野菜や食材を使用し、豆腐、湯葉、麩、かんぴょうといった日本ならではの食材を取り入れている。
さらにヴィーガン料理に役立つ自家製の調味料やソースのレシピは、料理を華やかにしてくれる上、常備保存できるものを紹介。ヴィーガン料理が身近に感じることができ、暮らしに取り入れやすい内容が嬉しい一冊である。
問い合わせ先/The Burn
http://salt-group.jp/shop/theburn/
ELEMINIST Recommends