グリーンカーボンとは、大気中から取り込まれて陸上の植物中に固定されている炭素のこと。日本には、企業活動によって排出されるCO2などの温室効果ガスを、植林事業や森林管理を通じて相殺できる制度があり、企業目標の達成に活かせると注目されている。
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グリーンカーボンとは、「光合成によって、植物や土のなかに蓄積されている炭素」のこと。大気中を漂う温室効果ガスは、人間活動が原因のものが大きい。しかし、CO2やメタンガスなどの排出をゼロにするのは困難を極める。
そのため、削減できない分については、カーボンオフセットを利用すれば数値上の相殺が可能だ。これは2008年2月に環境省が発表した「我が国におけるカーボン・オフセットのあり方について(指針)」に基づいたシステムである(※1)。
また2009年には、国連環境計画(UNEP)の報告書中で、陸地で吸収される炭素についてはグリーンカーボン、海中に吸収される分はブルーカーボン、と明確に区別されるようになった(※2)。
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グリーンカーボンが森林が固定する炭素のことを示すのに対し、海藻や海水中の植物プランクトン、海洋生物などが固定する炭素のことをブルーカーボンと呼ぶ。海に限らず、マングローブ林や藻場、干潟などへの吸収量もこれに含まれる。
島国である日本は、海岸線の長さが計29,751kmと世界第6位。これは、オーストラリアやアメリカよりも長い数字だ。しかし近年、沿岸部の埋め立てや護岸工事などにより、海岸沿いの環境破壊が進んでいる。そのため、マングローブや植物プランクトンが減少し、二酸化炭素を取り込める量が少なくなってきている。
海水に吸収できるCO2の量にはリミットがある。もし森林破壊がこのまま進んでしまえば、代わりに海が二酸化炭素であふれ、海洋が酸性化に傾くことに。そうなると今度は海洋生物がダメになり、なす術がなくなってしまう。
動植物にとって快適な環境が破壊されると、農作物の収穫量や漁獲高が落ち込むことが容易に予想される。サステナブルな経済を実現するためにも、温暖化の人為的原因は取り除いていかなければならないのだ。
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カーボンオフセットの活用方法として、さまざまなクレジット制度が挙げられる。そのうちの一つが、J-クレジット制度というシステムだ。
これは、省エネ機器や再生可能エネルギーの導入などを通じて削減できた温室効果ガスの量、また植林事業や森林管理などによって植物中に固定できたグリーンカーボンの量を「クレジット」として国に認証してもらうことができる画期的な制度である。
このクレジットは購入希望者に売却することができ、今後のビジネスに活用することが可能だ。全国の地方自治体や一般企業などがすでに活用しており、現在約830件のプロジェクトが進行している(※3)。
グリーンカーボンを意識したプロジェクトを推進することのメリットは、エコな企業として消費者や株主などに宣伝できるという点だ。
それに、ますます加速するグローバル社会に向けて、国内のみならず海外の投資家へのアピール材料としても大いに活用できる。また、ローカルの企業や地方公共団体にクレジットを購入してもらえれば、新たなビジネスネットワーク構築のきっかけにもなり得る。
課題としては、限られた国土のなかで、どうやって新たに植林できるスペースを確保するかというところだ。
日本の面積の約7割は森林で覆われてはいるが、新たに木を植えられるところはそう多くない。なので、使われていない田畑や荒廃した里山を有効利用するほかに、都市部の緑化などにも力を入れていく必要がある。
2015年12月に成立したパリ協定を受けて、日本は2030年までに温室効果ガスを2013年度と比べて26%削減するといった目標がある。
行政だけではなく一般企業や個人をも巻き込んでいかなければ、この目標に到達することはなかなか難しい。
そこでクレジット制度などを利用すると、努力しても減らせなかった分の二酸化炭素などのガスを相殺できるうえ、企業のCSR活動や地方自治体のイメージアップにも活かせる。
脱炭素社会の実現に向けてクレジット制度は全国で活発化しており、今後さらに広がる見通しだ。
※1 我が国におけるカーボン・オフセットのあり方について(指針)の公表
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/mechanism/carbon_offset/guideline.html
※2 ブルーカーボンとは
http://ieei.or.jp/2019/05/special201608027/
※3 J−クレジット制度
https://japancredit.go.jp/
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