廃止になった列車の線路から空中公園として生まれ変わった「ハイライン」。車通りの多いニューヨークに安全な歩道が生まれただけでなく、緑豊かに再構築することで都会に自然のオアシスをもたらした。そんな歴史ある施設が大きく生まれ変わる。
染谷優衣
フリーランスライター
YouTubeのThrift Filp動画をきっかけにサステナブルに興味を持つ。最近は洋服のリメイクを勉強中。リサイクルショップで掘り出し物の古着を見つけるのが好き。
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ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は、廃止となった鉄道の線路を緑地化するプロジェクト「ハイライン」の延長を発表した。
そもそもハイラインは、1930〜40年代には貨物列車の路線として使われてきた。1950年代に入ると、トラック輸送が増加し廃線に。一度は取り壊し寸前まで追い込まれたものの、ハイラインの保存と活用を推進するNPO法人「Friends of the High Line」の働きかけにより、2009年には空中公園として生まれ変わった。
車通りの多いニューヨークに安全な歩道が生まれただけでなく、緑豊かに再構築することで都会に自然のオアシスをもたらしたのだ。
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そんな歴史ある施設が、今回の計画で2段階に分け大きく生まれ変わる。まずはじめに、ペンシルベニア駅(通称:ペン駅)の駅舎「モイニハントレインホール」までの道の増築だ。
ペン駅は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行以前、一日65万人が利用していた北米最大級の駅として知られている。ハイラインが引かれることで、利用者にとって新たな移動手段が確保される。
次に道を伸ばす先は、ハドソン川沿岸に位置する「ピア76」。現在は違反駐車置き場として利用されているが、2021年には公園にリニューアルされる予定だ。交通量が非常に多い幹線道路が横に位置するため歩行をためらう人も多かったが、ハイラインを利用すればそんな心配もなくなる。
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ハイラインはサステナビリティに力を入れており、植えられている植物は殺虫剤や化学肥料を使わずに育成し、運営で生まれるごみはすべて堆肥化しているため、ほかの施設から大きなコストをかけて肥料を運び込む必要がないという。ていねいに緑を育てた結果、いまは約400種類の生物が生息している。
人にとっては安全に歩ける緑豊かな道を提供し、生物には都会に居場所を与える。まさに今日必要とされている、都市緑化のモデルケースといえるだろう。
参照サイトリンク/the Official New York State Portal
https://www.governor.ny.gov/news/governor-cuomo-announces-proposal-connect-high-line-new-moynihan-train-hall-part-2021-state
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