道路交通による大気汚染の原因の半分を占め、世界で2番目に多くのマイクロプラスチックを生み出しているタイヤの摩耗カス。深刻化する問題の解決に向けて開発されたのが「The Tyre Collective」だ。装置を車輪に設置することで、粉塵が空気中に飛び散る前に回収できる。
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車を走らせれば、タイヤは徐々に磨り減っていく。飛散したタイヤの粉塵は水路に落ち、食べ物に入り、空気中にも漂っている。
じつは、PM2.5やPM10が発生する要因の約50%を占めるのが、タイヤの摩耗カスなのだ。世界で2番目にマイクロプラスチックを生み出す原因にもなっているという。
それだけではない。EV(電気自動車)の普及によって世界中の排気ガス量は減少するといわれているが、大容量バッテリーを搭載する電気自動車は重量過多になりやすく、タイヤの摩耗カス増加につながるという予測もある。
「The Tyre Collective」は、名前の通りタイヤの摩耗カスを回収する装置だ。2020年の「ダイソンアワード」を含めた数々の賞を受賞している。
製品をデザインしたのは、イギリスのRoyal College of ArtとImperial Collegeがジョイントコースとして提供する「Industrial Design Engineering」の学生たちだ。
彼らが目をつけたのは、道路との摩擦によって摩耗カスが帯電する性質。製品を車輪に設置することで走行中に静電気が発生し、粉塵が飛び散ってしまう前にケース内に集められる。
回収した摩耗カスは、再加工してさまざまなものに再利用が可能となる。プロトタイプの段階では、一つのタイヤから生成される約60%の摩耗カスの収集に成功、現在は特許申請中だ。
今後は地域自治体とともに摩耗カスの影響について啓蒙活動を行い、公共交通機関には同製品の利用を持ちかけていくという。
タイヤの摩耗カスは、排気ガスに比べてあまり注目されてこなかったが、決して見逃せない汚染物質だ。この記事を読むまで知らなかった人も多くいたのではないだろうか。
小さな機械を車輪につけるだけで、自動車交通による大気汚染の軽減につながる――。もし公共交通機関が採用すれば、より大きな効果が得られるだろう。
根本的な解決策を打つのは必要なことだが、実現可能なアクションをなるべく早く起こす大切さを改めて考えさせられるアイデアといえる。
参照サイト/Hugo Richardson
https://hugorichardson.com/The-Tyre-Collective
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