REACH規則(リーチ規則)とは 規則の目的や日本での動きを解説

reach規則で定める化学物質

REACH規則(リーチ規則)とは欧州が定めた化学物質規則を指す。この記事では、むずかしく説明されがちなREACH規則の内容をわかりやすく解説する。REACH規則が施行された背景や目的、reach規則をふまえた日本国内での動きにも言及。

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2020.12.29
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REACH規則(リーチ規則)とは

REACH規則(リーチ規則)とは欧州が定めた化学物質規則のこと。REACHは英単語の略称で、registration(登録)、evaluation(評価)、authorization and restriction(許可と制限)、chemicalsreach(化学物質)の頭文字からとった言葉だ。

REACH規則は、欧州連合(以下EU)主要機関の一つである欧州理事会で2006年12月18日に採択され、2007年6月1日に欧州国内外の事業者(※1)に向けて施行されている。

※1 REACH規則はEU加盟国に適用されるが、EU域外から輸入される物質についても登録・評価が要求される。そのため、EU域内へ輸出する事業者にも同規則を遵守する義務がある。

REACH規則の背景や目的

従来の規則では、新規化学物質(※2)に対しては事業者が行った安全性評価をもとに行政が審査を行う一方、既存化学物質(※3)に対しては安全性評価、審査ともに行政が担っていたのだが、後者の作業が進まないことが問題視されていた。

※2 化学物質規則が開始された後に新たに製造または初めて市場に出された化学物質のこと
※3 化学物質規則が開始された時点ですでに市場に流通していた化学物質のこと


そこでREACH規則では、これまで主に行政の役割だった既存化学物質の安全性評価を事業者の義務に変更。これによりスムーズな評価作業が行われ、EU化学産業に関わるすべての人の健康と環境の保護につながることが期待されている。

とくに既存化学物質は約3万種類が市場に流通しているとされており、安全な市場を維持管理するためにもREACH規則の担う役割は大きい。

REACH規則の内容と対象物質について

reach規制で定める化学物質

Photo by Bill Oxford on Unsplash

REACH規則内容と対象物質は以下の通り。

規則内容
・既存化学物質と新規化学物質の扱いをほぼ同等に変更
・これまでは政府が実施していた安全性評価を、事業者の義務に変更・サプライチェーン(流通経路)を通じた化学物質の安全性や取扱いに関する情報の共有を、事業者と行政の双方で強化
・成形品に含まれる化学物質の有無(濃度)や用途についても、情報の把握を要求

対象物質
・一定程度以上の発ガン性・変異原性(※4)
・生殖毒性物質・残留性、蓄積性、毒性を有する物質
・残留性および蓄積性が極めて高い物質・上記以外の化学物質で、内分泌かく乱特性(※5)を有しており人の健康や環境に深刻な影響がありそうなもの

※4 遺伝子情報に変化を引き起こす物質
※5 正常なホルモンの作用に影響を与える物質

REACH規則案の仕組み

REACH規則でまずはじめに行うことは、物質の登録である。事業者は登録のため欧州化学物質庁に物質情報を指定された形式にて提出する。

その後、行政庁が内容を評価し、認可するか否かを判断。必要に応じて追加試験の実施または追加情報を事業者に要求する。

認可を有した場合は、市場に出す前にラベル上に認可番号を記載することになっている。REACH規則に準じていない事業者は、EU域内での物質の製造、市場に出すこと、使用をすることはできない。

これら規則を守らなかった場合、法令違反として罰則金が請求されることもある。

REACH規則案をどう順守するか、日本国内での動き

reach規制を遵守するために必要な情報を把握するシステム

REACH規則はEUの規則だが、EU域外から輸入される物質についても登録・評価が要求されるため、EU域内へ輸出する事業者にも同規則を遵守する義務が生じる。

よってEU加盟国でない日本の事業者にも規則が適用される場合は十分にあり、適用された事業者は自社の取り扱い製品に含まれる化学物質について内容の把握および管理コストが負担となっているのが現状である。

それらコスト削減のため、REACH規則を遵守するための必要な情報が把握できるためのシステムづくりに着手している大手企業も存在するが、中小企業では手が回らない部分であり、REACH規則を遵守するための課題の一つとなっている。

※掲載している情報は、2020年12月29日時点のものです。

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