混迷を極めたアメリカ大統領選。概ねの開票作業が終了し、バイデン氏の当選が確実とされている。これを受け世界的な環境保全団体であるWWFが、バイデン氏の環境政策を歓迎する旨の声明を出した。今後アメリカの環境政策はどう変わっていくのか? WWFが今後の展望を提示している。
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混迷を極めたアメリカ大統領選も大勢が決し、民主党候補のジョー・バイデン氏の当選が確実となった。これを受け、世界的な環境保全団体であるWWFがバイデン氏の環境政策を歓迎する旨の声明を出した。
WWFが評価しているのが、選挙公約に掲げていた「2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにし、100%クリーンなエネルギー社会を達成する」という点だ。これは、パリ協定の努力目標である「世界平均気温の上昇を1.5℃未満に抑える」を達成するために必要な目標である。
また、彼が上院議員時代に生物多様性保全に関するアメリカのリーダーシップを提唱した点や、副大統領時代に担当したパリ協定の交渉や、温室効果ガス排出を制限する国内政策の確立を支援した点なども評価している。
温室効果ガスの排出に関しては、すでに欧州連合も2050年までに実質ゼロに、中国が2060年までにゼロにすることを発表している。
世界のCO2排出量の14.5%を占めるアメリカがこれに加わることは、世界3大経済圏が脱炭素経済に向けて変化していると述べている。
Photo by American Public Power Association on Unsplash
日本でも新総理に就任した菅総理が、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにすると宣言したばかりだ。
日本の温室効果ガス総排出量約12.4億トンのうち、エネルギー起源のCO2が約85.4%を占めている。
WWFジャパンの試算によると、2050年までにゼロにするためには、年率約3.1%の削減が必要となる。つまり2030年には、2013年比で45%の排出削減をしなければならないという計算だ。
WWFは「温暖化対策=エネルギー対策」だとして、脱炭素経済への移行が必要だと日本政府に警鐘を鳴らす。すぐにでも抜本的な取り組みが求められるほど事態は急を要する。
そうした施策の一つとして、WWFは「カーボン・プライシング」を提言。これは化石燃料から再生可能エネルギーへの転換を促進する代表的な施策であり「具体的な制度設計を早急に進めるべき」と主張した。
また脱炭素化に取り組む企業が増えづらい理由として、国内の企業が取り組みを進めても評価されづらい現状を指摘。
「脱炭素化に向けて炭素生産性の向上にきちんと取り組んでいる企業が、国内外の投資家から適切に評価され、投資が進むような制度の整備、支援が必要である」と訴えた。
お問い合わせ先/WWFジャパン
https://www.wwf.or.jp/
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