インフォデミックとは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するフェイクニュースによって注目されるようになった言葉だ。インフォデミックという言葉の意味から、具体的な事例とともに、影響、問題点、対策などについて紹介する。
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インフォデミックとは、SNSなどを通じて、不確かな情報が拡散されることを意味する。インフォデミック(infodemic)という言葉の語源は、情報を意味するインフォメーション(information)と、感染症の急激な拡大を意味するエピデミック(epidemic)から来ている。
インフォデミックが注目されるようになった背景には、SNSの普及で不確かな情報が拡散しやすくなったことや、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)など、疫病が流行すると偽情報が拡散しやすくなることがある。
Photo by engin akyurt on Unsplash
インフォデミックは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行とともに注目を集めることとなった。インフォデミックによる問題点として、次のようなことが挙げられる。
インフォデミックで間違った情報が拡散すると、正しい情報が埋没してしまう。「ニンニクを食べるとコロナを予防できる」などの情報が拡散し、正しい手洗い方法などの正確な情報が埋没する。
「コロナは人工調整のために人為的に流されたウイルスだ」、「開発中のバイオ兵器が流出した」などの陰謀論が拡大する。センセーショナルな話題であればあるほどSNSで拡散しやすくなり、間違った情報であっても収束せず長期間共有される。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は中国から流行が始まったことから、アジア人がウイルスを拡散していると噂が広まり、アジア人が暴行されたり、飲食店への入店を拒否されたりするなど、差別されるケースが増えてきている。
海外ではアジア人全体が対象となるが、日本でも外国籍の人や観光客が飲食店への入店を拒否されるなど、特定の民族や「よそ者」への差別意識が強まっている。
WHOではインフォデミックについて言及。コロナ禍で日本の衆議院でも、インフォデミックの現状に関して議論されたこともある。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の場合のように、インフォデミックによって誤った情報が人々に広まり、感染症の流行が拡大する危険がある。
誤った情報が拡散すると、正しい情報と誤った情報の判別が難しくなり、人々の間に不安が増大。精神的な健康に影響を及ぼしかねない。
公衆衛生などに関して不信感が生まれ、信頼して利用することが難しくなることが考えられる。
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ここからは、実際に発生したインフォデミックの事例を見てみよう。
今年の2月上旬から3月下旬にかけて、日本でトイレットペーパーの買い占めが発生し、一時品薄になった。買い占めが発生した原因は、「新型コロナウイルスの影響で中国からの輸入が途絶え、トイレットペーパーが品薄になる」という噂が拡散したことだ。
実際のところ、日本で消費されるトイレットペーパーの98%が国内で生産されており、中国からの輸入はほとんどない。
トイレットペーパーを製造する製紙メーカーなどの業界団体である日本家庭紙工業会では、「トイレットペーパーやティッシュペーパーの供給力は十分にある」と公式サイト上で呼びかけている。
イランでは、「コロナウイルスにはメタノールなどのアルコール消毒液を飲むといい」という噂が広まった。消毒液を飲んだ人数千人が搬送され、このうち数百人が亡くなった。メタノールは飲んで体内で分解されると有害な物質を発生するため、絶対に飲んではいけない。
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インフォデミックを防ぐためには、次のような対策が有効だ。
何よりもまず「SNSで情報をシェアすることは情報を拡散すること」であることを認識しよう。たとえ善意であったとしても、フェイクニュースをシェアしたら、フェイクニュースの拡散に加担したことになる。
情報をすぐに拡散しようとせず、必ず記事に一度目を通し、発行元の情報などを確認してからシェアするようにしよう。
ブログ記事などは、SNSで拡散しやすくなるよう、センセーショナルなタイトルをつけている。記事を読まずにタイトルだけをみてシェアしてしまうと、知らないうちにフェイクニュースの拡散に関与したことになってしまう。
Twitterでは2020年、リツイートの使用を変更し、1ステップでコメントなしリツイートをできなくした。また記事を読まずにリツイートしようとするとアラートを発信するようにした。Twitterでは、この仕様変更は2020年のアメリカ大統領選挙でフェイクニュースの拡散を防ぐためのものとしている。
信頼性の高い情報を得たいのであれば、まず政府機関・自治体などの公式アカウントを確認しよう。Twitterであれば、政府機関・自治体の認証済みアカウントの情報をチェックするのがオススメだ。
認証済みアカウントはアカウント名の横に水色のチェックマークが付いているかどうかで簡単に判別可能で、信頼できる情報を得られる。
どんな相手からの情報であっても、得た情報は一度調べて確認するようにしよう。とくに健康に関する情報の場合は慎重に対応しよう。間違った健康法を行うことで、最悪命を落とすことにもつながるからだ。
ここまで、インフォデミックについて事例などを見てきた。インフォデミックによる誤情報に踊らされたり、不確かな情報を共有しないためには、まずはSNSが情報拡散ツールであることを認識し、気になる情報を見つけてもすぐに拡散せず、落ち着いて対応することだ。インフォデミックに注意し、上手にSNSと付き合っていこう。
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