より快適によりやさしく 世界の女性たちを支える生理時の吸水ショーツ

女性は生涯のうち約40年間、生理と付き合っていく。一生で使い捨て生理用品にかかる費用はもちろん、ごみとなる量は膨大だ。そこでいま世界中で大注目されているのが、生理の時でも洗って繰り返し身につけられる「吸水ショーツ」。今回は日本でも購入可能な4ヶ国のブランドを紹介する。

Mai Shiratori

トレンドリサーチャー

埼玉県出身。2014年から2019年までアメリカのニューヨークに居住し、トレンドリサーチャーとして衣食住のトレンドをリサーチする。さらに、ニューヨークでヨガ学んだことをきっかけに、ウェル…

2020.09.29

自分にも環境にもやさしい! 生理時に活躍する吸水ショーツ

欧州委員会の発表によると、海を漂う海洋プラスチックごみの第5位は、タンポンやナプキンなどの生理用品と発表されている。

そこで注目されているのが、第4の生理用品と言われる「吸水ショーツ」だ。繰り返し使えてコストも抑えられるうえ、環境にもやさしい。

吸水ショーツは、ナプキンを貼り付けて使うサニタリーショーツとは違い、ショーツそのものに吸水機能を備えている。これがあればナプキンやタンポンは必要ない。ナプキンによるムレやカブレといった不快感からも解放される。

試したことのない人は、「本当にモレないの?」と不安になるだろう。デリケートゾーンに触れるショーツの生地は、速乾・吸水・消臭・防水それぞれの層からなり、モレやニオイも抑えてくれる。

まずは、軽い日にショーツ1枚で試してほしい。そして重い日は、ナプキンやタンポンのバックアップとして使用してみよう。

使い続けるには、手入れの手軽さも重要だ。ショーツは洗濯洗剤もしくはぬるま湯に浸けてから、洗濯ネットに入れて洗濯機で洗う。乾燥機は使用せず、自然乾燥でしっかり乾かすだけで完了だ。

ブランドによって、細かい手入れのコツは異なるので、しっかり確認しよう。

では実際に4ヶ国から誕生したブランドをみていこう。

From USA:吸水ショーツ界のさきがけ! 企業としてサステナブルな取り組みを行うThinx

Thinx

2014年にデビューした「Thinx Inc.(シンクス)」は、アメリカ、ニューヨークを拠点とするブランド。

トングパンツからボディースーツまで、17種類の吸収ショーツを展開する「Thinx(シンクス)」と、生理が始まったばかりのティーン世代の体にフィットするようにデザインされた「Thinx (BTWN) (シンクス・ビトウィーン)」。尿失禁をサポートする「speax by thinx (スピークス・バイ・シンクス)」の3ラインを展開中だ。

すべての製品には、世界トップレベルの厳しい基準をもって繊維の安全を証明する「OEKO-TEX® STANDARD 100(エコテックス® スタンダード100)認証」を獲得した素材を使用している。さらに、企業として取り組むサステナビリティにも注目したい。

次なる世代へ、生理に関する知識を身につけるための教育や、非営利団体をパートナーに迎え、すべての人が生理用品を利用できる環境づくりへの活動を行っている。私たちは商品を購入することで、これらの活動支援にもつながっているのだ。

Thinxのショーツは、女性のリーダーシップ、従業員の整った福利厚生、環境の持続可能性という3つの柱に成り立つ、スリランカの工場で製造されている。

同工場は、2025年までに廃棄物ゼロを目指しており、生地の端材をレンガにリサイクル。これまでに220,000個以上のレンガを生産し、新しい施設の建設に使用している。

安心安全な環境でつくられた製品は、5段階の吸収力に分けて、豊富なデザインを展開。サイズはXXSから3XLまでの8サイズが用意されているので、自分のカラダにフィットする1枚を見つけることができる。

一番吸収力がある製品の一つである「Super Hiphugger(スーパー・ヒップハンガー)」は、ナプキン2枚分、タンポンであれば4本分の吸収力(36ml)を持つ。吸収力の高さは動画でもわかりやすく説明してくれているので、初めての方も安心して手に取ることができるだろう。

Thinx

From TAIWAN:ジュニア世代に向けたスターターセットを提案するMOON PANTS

MOON PANTS

台湾の女性たちが開発し、日本代理店のアジュマがともにブランディングを行い誕生したのが、「MOON PANTS(ムーンパンツ)」。生理が始まったばかりの子どもから尿漏れなどに悩んでいる方まで、すべての世代の女性に向けた商品だ。

「女性がもっと生きやすく、もっと自由に生きられるような、そんな社会が私たちの理想。」というブランドのメッセージを形にした吸水ショーツ。サラサラとしたフィット感が特徴で、日常的に履いても軽やかな履き心地で違和感を感じないだろう。

素材は薄くとも、吸収力は抜群だ。デイタイムはナプキン2~3枚(10~15ml)の水分を吸収し、ヘビー&ナイトタイプはナプキン3~4枚(15~20ml)の水分を吸収する。クロッチ部分は、縫い目がなく布を巻き込む仕様なので漏れを防ぐという安心構造だ。

MOON PANTSでは、ジュニア世代の子たちに向けたプログラムを始めた。自分に最適な生理用品を自由に選べる未来を目指してつくられた、「DREAM PASSPORT SET(ドリーム・パスポート・セット)」だ。

はじめて生理が始まった時、どんな感情を抱いていただろうか。小さなポーチにナプキンを入れて、悪いことをしている訳ではないのに、なんだかコソコソして学校の休み時間にトイレに駆け込む。自分の体の変化とともに、不安や不快感などを感じていたのではないだろうか。

生理について学べる本に合わせて、デイリーユースとヘビー&ナイトの2枚がセットになっている「DREAM PASSPORT SET。これを通して、お母さんと娘が生理について話すきっかけにもなるだろう。

From KOREA:こだわりの素材は世界基準! EVEのオーガニック生理用ショーツ

EVE

韓国発のブランド「EVE(イブ)」はアジアの多くの国で、とくに女性において未だタブー視されている性への認識を変化させるべく立ち上がったブランドだ。

フェアトレードの石けん、オーガニック生理用ショーツ、医療用シリコーン製月経カップなど、動物実験を行っていないナチュラル成分でつくった生理用品やセクシャルアイテムを取り扱っている。

EVEのオーガニック生理用ショーツは、こだわり抜いた世界基準の自然派の素材を使用している。

肌に触れる部分のオーガニックコットンはオーガニック繊維について生産から製造・販売まで、すべての工程の取り扱いについて定めた世界基準、「GOTS(Global Organic Textile Standard)認証」を得た綿のみを使用。吸水生地に使われている素材はOEKO-TEX® STANDARD 100を取得。

また、防水生地には乳幼児の下着にも採用されているサステナビリティ認証の「Bluesign(ブルーサイン)」を取得している透湿防水素材「SYMPATEX(シンパテックス)」を使用しているのだ。

前後約40cmに渡る吸水面は、水分を15ml吸水した後もサラサラ。お尻をしっかりとカバーし、長時間の座った作業や寝返りを打った際にも漏れにくいのが特徴だ。ハイウエストなデザインは、生理中もお腹をやさしく包み込んでくれるので安心感を抱くはず。

From JAPAN:その日の調子に合わせて選べる豊富なデザインを持つNagi

Nagi

日本の安全な生地メーカーの生地を使用し、高い技術をもつ国内の工場でつくられる「Nagi」の吸水ショーツは、1枚1枚ていねいに人の手で縫製されている。

ショーツの生地は、独自の4層構造(速乾、吸収、消臭、防水)になっている。吸水部分の周りを防水シートで囲んで織り込むことで、経血のつたいモレをブロックするNagi独自の仕組みが完成。より安心して履くことができる。

標準的なタイプでナプキン3枚分の吸水量(30ml)を持つ「Standard」。ナプキン2枚分の吸水量(20ml)で、お尻側のデザインをスリムにした「Slim」。吸水面を腰まで広げ、ナプキン4枚分の吸水量(45ml)でホールド感のある「Full」という3デザインがラインアップ。

そろそろ生理がくるかも? と体のサインを感じたら、Slimを履いて備えておこうというような、安心の選択肢が広がるのが嬉しい。

筆者である私も、吸水ショーツ利用者だ。アメリカ、ニューヨーク在住当時、Thinxは街頭広告やSNSでも目にしていたし、POP-UP SHOPにも足を運び商品への理解もあった。だが実際に購入するまでの、もうひと押しがなく利用していなかった。

だが、環境問題への意識が高まり、自分のライフスタイルを見直した時が、吸水ショーツを利用するきっかけとなった。使い捨ての生理用品をどうしたらサステナブルに切り替えられるのか考えたのだ。

吸水ショーツの快適さを体験すると、どうしてもっと早く試さなかったんだろうというのが正直な感想だ。カラダの調子を見てナプキンと併用する日もあるが、自身の選択により、環境にもやさしい自分でいられる。同時に、自分にもやさしい自分になることもできるのだ。

※掲載している情報は、2020年9月29日時点のものです。

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