米13歳が「水の無駄遣いを見える化」アプリを開発 国際ヤング・エコヒーロー賞3位

水道の蛇口

Photo by Luis Tosta on Unsplash

蛇口をひねれば、水はいつでも出てくる。その「当たり前」が、無意識にムダを生んでいるのかもしれない。米ニュージャージー州に暮らす13歳のネハ・ブラントさんは、家庭の水の使用量を記録し、節水を促すアプリを自力で開発した。小さな挑戦から生まれたこのツールは暮らしを見直すヒントになる。

Naoko Tsutsumi

エディター/ライター

兵庫県出身。情報誌、カルチャー誌、機内誌など幅広いジャンルの媒体の編集に携わる。コロナ禍にシンガポールへ移住。「住む」と「旅」の視点の違いに興味を持ち、地域の文化の違いを楽しんでいる。

2026.10.26
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13歳が7か月かけて開発 家庭の水使用量を可視化するアプリ

ネハさんが開発した「Water Saver」は、家庭での水の使用量を記録し、ゲーム感覚で節水に取り組めるウェブアプリ。開発にかけた期間は約7か月。3歳でプログラミングを始めたという彼女は、この作品で2023年の米国議会アプリチャレンジに出場し、3位に入賞した。高校生プログラマーが多く参加する大会のなかで、最年少での入賞だったという。

そして今回、非営利団体「アクション・フォー・ネイチャー」が主催する「国際ヤング・エコ・ヒーロー賞(International Young Eco-Hero Awards)」で第3位を受賞した。

アプリの特徴は、使用量を並べて見せるだけで終わらない点にある。雨水を貯める「レインバレル」や、雨水を地面に浸透させる「レインガーデン」のDIY方法を紹介するほか、世界の水不足の現状についても学べる。節水を「我慢」ではなく「楽しい挑戦」に変え、知識と行動を結びつける設計だ。低所得者層でも気軽に利用できるようにと、ウェブベースでつくられているところも見逃せない。

アクション・フォー・ネイチャーによると、このアプリを通じて節約された水は2000万ガロン(約7500万リットル)を超え、100万人以上に水問題を伝えたという。一人の中学生がつくったツールが、ここまで広がったことに驚かされる。

現在は地元の水道事業体と連携し、家庭でのリアルタイムの水使用量をグラフで確認できる「Water Saver 2.0」の準備を進めている。さらに、清潔な水を届ける国際支援団体への寄付を募り、一つの町に井戸を建設する計画も描く。技術を社会のために使うという姿勢は、年齢を問わず見習いたい。

「無意識の浪費」に気づく 今日からできる水との関わり方

「水が豊富にある環境下では、人は受け身の習慣に流され、気づかないうちに水を無駄にしてしまう」。ネハさんの水資源保護に対する高い意識は、母親からの教えだという。

「母は私と二人の妹に水はとても貴重な資源であり、それを賢く使い、無駄にしないことは私たち全員の責任だと常に言い聞かせてきました」と話している。日常生活で自然に伝えられてきた習慣や価値観は、環境意識の基礎となり、きっと大人になっても色褪せないだろう。

では、水道インフラの整った日本で暮らす私たちは何から始めればよいのか。ネハさんのアプリが教えてくれるのは、「見える化」こそが行動を変える第一歩だということ。ならば、毎月届く水道の検針票を、金額だけでなく使用量にも注目して確認してみるというのはどうだろう。前月や前年との比較をするだけでも、自分の暮らしの傾向が見えてきそうだ。

シャワーを1分短くする、歯磨きや食器洗いで水を流しっぱなしにしない、洗濯物をまとめてから回す。どれも小さな工夫だが、毎日の積み重ねは大きな差になる。庭やベランダがある人は、雨水をためて植物への水やりに使う方法もある。自治体によっては、雨水タンクの設置に補助制度を設けている場合もあるので、確かめてみて損はない。

蛇口をひねれば安全な水が出ることは、世界的に見れば決して当たり前ではない。だからこそ、その恩恵を意識しないまま使い続けてしまいがちだ。水を「使い捨てる資源」ではなく「巡らせる資源」として捉え直すこと。それが、水害と水不足という相反する現象が混在するこれからの暮らしの土台になるかもしれない。

※掲載している情報は、2026年10月26日時点のものです。

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