スイス、動物の虐待が伴う毛皮の輸入・販売を禁止する世界初の国へ

毛皮のコート

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スイス議会は2026年10月2日、動物に苦痛を与える方法で生産された毛皮の輸入・販売を禁止する動物福祉法の改正案を可決した。こうした毛皮の輸入と販売の両方を法律で禁止するのは世界初とされ、動物福祉の観点から毛皮製品の流通を規制する取り組みとして注目されている。

natsumi_kawaide

ライター

フランスのパリに滞在中、ライターとして欧州の旅行見本市や日本文化イベントを取材。帰国後は旅行情報誌の編集に携わり、現在はフリーランスのライターとして活動している。

2026.10.15
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世界動物保健機関(WOAH)の動物福祉の指針が基準

今回の法改正で禁止されるのは、アニマルウェルフェア(動物福祉)を著しく損なう方法で生産された毛皮や毛皮製品だ。例えば、動物本来の行動を妨げる飼育環境や、痛みや苦痛を伴う殺処分方法などが問題視されている。

一方、動物福祉の基準を満たす方法で生産された毛皮については、引き続き輸入・販売が認められる。毛皮製品を扱う事業者は、生産方法が動物福祉の基準に適合していることを証明する必要がある。判断基準には世界動物保健機関(WOAH)の動物福祉に関する指導原則が用いられ、スイス連邦食品安全・獣医局(FSVO)による認証制度が導入される。

輸入時の検査は連邦政府、国内の店舗での監督は各州が担う。違法に輸入・販売された毛皮や毛皮製品は押収され、違反者は処罰の対象となる。

なお、旅行者が個人使用のために毛皮製品を持ち込む場合や、相続した毛皮製品の輸入は例外として認められる。ただし、相続した毛皮製品を販売することはできない。

政令による輸入禁止は2025年7月1日から施行され、2年間の移行期間が設けられている。今回可決された法律の施行日は、100日間の国民投票請求期間を経て、政府が決定する。

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スイスでは2013年から、毛皮製品について動物の種類や原産国、生産方法などの表示を義務づけてきた。しかし、表示義務が十分に守られていないことが課題となっていた。

スイス連邦食品安全・獣医局による検査では、毎年、検査対象となった製品の70%以上で表示に関する問題が指摘されているという。警告や刑事手続きが行われても違反が続いていたことから、政府は表示義務に加え、事業者に生産方法の証明を求める規制へと踏み込んだ。

こうした状況のなか、動物に苦痛を与える方法で生産された毛皮の輸入禁止を求める市民運動が広がり、2023年12月までに11万3000人以上の署名が集まった。政府はこの市民発議への対案として、輸入だけでなく国内での販売も禁止する方針を示した。

今回の法改正は、毛皮製品の表示義務から一歩踏み込み、動物福祉の基準を満たさない毛皮製品の流通そのものを規制するものだ。毛皮製品を取り扱わない旨を宣言するブランドも多く出るなか、毛皮製品の意義が問われている。

※参考
Swiss Fur Ban: Switzerland Bans Import and Sale of Cruelly Produced Fur|This Is Vegan
Switzerland becomes first country to ban fur imports and sales|Humane World for Animals

※掲載している情報は、2026年10月15日時点のものです。

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