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インド北東部のアルナーチャル・プラデーシュ州で、低温の地熱資源を活用する国産の発電技術開発が進んでいる。68℃と比較的低い温度の地熱水でも発電できる技術の実証を通じて、これまで活用が難しかった地熱資源の利用拡大が期待されている。

natsumi_kawaide
ライター
フランスのパリに滞在中、ライターとして欧州の旅行見本市や日本文化イベントを取材。帰国後は旅行情報誌の編集に携わり、現在はフリーランスのライターとして活動している。

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インドでは再生可能エネルギーの導入が進んでおり、その設備容量は2020年の136GWから2026年には275GWに達している。
地熱発電とは、地下にある熱を利用して電気をつくる発電方法だ。地下の蒸気や熱水でタービンを回して発電するほか、比較的温度の低い地熱水では、その熱で水より沸点の低い液体を蒸発させ、その蒸気でタービンを回す「バイナリー発電」が用いられる。
地熱エネルギーは、発電だけでなく暖房や熱利用にも活用できる。また、天候に左右されず安定して利用できることから、太陽光や風力を補う再生可能エネルギーとして期待されている。
インドでは2024年時点で381カ所の温泉が確認され、地熱発電の潜在容量は計10.6GWと推定されている。なかでも東ヒマラヤに位置する北東部アルナーチャル・プラデーシュ州は、そのうち約2GWを占めるとされる。
2025年5月には、州西部のディランで、州政府科学技術局傘下の地球科学・ヒマラヤ研究センター(CESHS)が北東インド初となる地熱生産井*を掘削した。暖房や果物・肉の乾燥設備など、熱を直接利用する用途を想定している。
さらに同州タワン地区では、地熱による発電プロジェクトも検討されている。現在の評価では、0.25~1MWの発電が見込まれている。
*生産井(せいさんい):地熱や石油、天然ガスなどを採取するときの井戸
タワン地区のプロジェクトで開発が進むのが、通常より低い温度で発電できる国産技術だ。採用されるのは「バイナリー発電」と呼ばれる方式。地熱水の熱によって、水より沸点の低い「作動流体」を気化させ、その蒸気でタービンを動かして発電する。
従来型のバイナリー発電では100℃を超える熱源が一般的なのに対し、開発中の技術は68℃から稼働できる。東ヒマラヤでは利用できる地下熱が比較的低温なため、68℃から稼働できる技術によって、同地域の地熱資源を発電に利用できる可能性が広がるという。
この技術はCESHSとシュリラム産業技術研究所(SIIR)が共同で開発。インド国内で設計・試験され、テランガーナ州マヌグルの地熱発電パイロットプロジェクトでも使用された。現在はアルナーチャル・プラデーシュ州で0.25MWの実証設備の導入に向けた取り組みが進んでいる。
一方で課題もある。同州はインドの地震リスク区分でもっともリスクの高い「ゾーン5」に位置する。また、地熱資源が豊富な地域の多くはアクセスが難しく、大型の掘削機や専門設備の輸送がプロジェクトの遅れや初期費用の増加につながっている。
さらにディランやタワンの温泉は、地域に暮らすチベット仏教徒にとって神聖な場所であり、治癒や浄化の儀式にも使われてきた。CESHSでは地域住民の思いに配慮し、地下にある温泉の水源をたどり、一般の人々が目にする湧出口から離れた場所を掘削している。
低温の地熱資源を活用できる技術は、これまで利用が難しかった地域にも地熱利用を広げる可能性を秘めている。今後の実証の進展に注目したい。
※参考
The Future of Geothermal Energy|IEA
Could India’s geothermal potential be unlocked by homegrown technology?|Dialogue Earth
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