1日で8億本を植樹 エチオピアが挑む国民参加型の気候変動対策

エチオピア

Photo by Daniele Levis Pelusi on Unsplash

エチオピアで8月3日、政府が進める植樹活動「グリーン・レガシー」が実施され、1日で約8億530万本の苗木が植えられた。気候変動への対策として2019年より続くキャンペーンで、全国の国民が対象。政府によると約2,620万人が参加し、目標数を上回る数の植樹に成功した。

Aoi Kurogi

ライター

元新聞記者。幼少期に地球温暖化のドキュメンタリーを見て以来、環境問題に興味を抱く。現在は国際環境NGOなどでも執筆活動中。

2026.09.07
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1日で8億本 国民参加の植樹活動

エチオピアで2026年8月3日、全国の国民が参加する政府主導の植樹活動が実施された。政府によると、約2,620万人が参加し、12時間で約8億530万本の苗木を植えた。当初の目標だった1日8億本を上回ったという。

エチオピアの人口は約1億3,206万人なので、参加率は約20%。国民の5人に1人が参加したことになる。

この植樹活動はアビー・アハメド首相が2019年に立ち上げた国家プロジェクト「グリーン・レガシー・イニシアチブ」の一環。荒廃した土地を緑化させ、生態系を回復することを目指す。全国の国民を巻き込む植樹活動で、国を挙げた環境活動といえる。

「Planting Hope(希望を植える)」をテーマに、早朝から全国一斉に植樹が行われた。アビー首相自身も大学キャンパス内で苗木を植えた。

なぜ、エチオピアはこれほど木を植えるのか

エチオピアが大規模な植樹に取り組む背景には、深刻な森林減少がある。

エチオピア農業省によると、過放牧などを背景に同国の森林被覆率(森林の面積が国土の面積に占める割合)は、1990年代後半までに、それまでの推定40%からわずか3%まで減少した。森林の減少は生物多様性の喪失にとどまらず、干ばつや洪水、農業生産性の低下、食料確保の不安定化にもつながってきた。

そこでアビー首相が2019年に始めたのが、国民を巻き込んだ大規模な植樹キャンペーンだ。植樹により森林を拡大することで、荒廃した土地や生態系を回復させ、土壌・水資源を保全する。気候変動への強靭性向上だけでなく、農業や食料安全保障、雇用創出にもつなげる国家的な取り組みとして位置付けられている。

エチオピア農業省によると、2019年に47億本を植樹して以降、2020年に59億本、2021年に68億本、2022年に72億本、2023・2024年にそれぞれ75億本と、毎年数十億本規模の植樹を継続してきた。全体で500億本の植樹を目指しているという。

8億本のその先に

この取り組みがユニークなのは、植樹を国民的な活動へと広げている点だ。国民一人ひとりが植樹に参加することで、環境を守る意識そのものを社会に根付かせようとしている。

一方で、植樹による長期的な成果を測ることも重要だ。「何本植えたか」だけでは効果を測れない。

8億本という数字の先に、植えられた苗木がしっかり根を張り成長するのか、本当に森林が戻り、生態系や人々の暮らしが豊かになっていくのか、検証が必要だ。エチオピアの「グリーン・レガシー」は、植樹の数だけでなく、その後の森の姿まで含めて注目したい取り組みといえそうだ。

※掲載している情報は、2026年9月7日時点のものです。

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