タマリンド種子でマイクロプラスチック除去 世界を驚かせたインド高校生のアイデア

g Team Plas-Stick - Avyana Mehta, Vivaan Chhawchharia, Arian

Photo by The Earth Prize

インドの高校生3人が、タマリンドの種子を原料に、水中のマイクロプラスチックを除去する技術を開発した。学生環境コンテスト「アースプライズ(The Earth Prize)2026」で世界優勝賞を受賞し、国際的な注目を集めている。

Aoi Kurogi

ライター

元新聞記者。幼少期に地球温暖化のドキュメンタリーを見て以来、環境問題に興味を抱く。現在は国際環境NGOなどでも執筆活動中。

2026.08.03

世界最大級の学生環境コンテスト「アースプライズ」とは

「アースプライズ2026」受賞したインドの高校生

インドの高校生3人が、マメ科の果物タマリンドの種子を原料に、水中のマイクロプラスチックを除去する技術を開発し、世界最大級の学生向け環境コンテスト「アースプライズ(The Earth Prize)2026」の世界優勝者に選ばれた。

アースプライズはスイス・ジュネーブを拠点とする非営利団体が主催する国際コンテストで、世界の環境問題を解決するアイデアやソリューションを競う。対象は全世界の13歳から19歳の若者。5回目の開催となる2026年は、136の国と地域から過去最多の6150人が参加した。

農村部の飲料水問題から着想、地域資源を活用した技術

タマリンド種子由来の粉末でマイクロプラスチックを凝集させ、磁石で回収する実演

Photo by The Earth Prize

タマリンド種子を原料にした粉末を加え(写真左)、かき混ぜるとマイクロプラスチックが結合する(写真中)。凝集したマイクロプラスチックは磁石で回収できる(写真右)。

インドの3人が開発した「Plas-Stick」は、タマリンドの種子を原料とした天然由来のマイクロプラスチック凝集剤。タマリンドの種子をベースとした粉末を水中で短時間かき混ぜると、マイクロプラスチックが凝集して塊ができる。塊は磁性があり、磁石で簡単に回収できるという。

開発したのはアヴィヤナ・メータさん、アリアナ・アガルワルさん、ヴィヴァーン・チャウチャリアさん。3人とも16際の高校生だ。

アイデアのきっかけは、インフラが整っていないインドの農村部で、プラスチック容器に保管された共同の飲料水を子どもたちが飲んでいる光景を目にしたことだった。日常的にマイクロプラスチックを摂取している可能性を懸念し、安全な飲料水を確保する方法を模索する中で「Plas-Stick」を考案した。

タマリンドはインドで料理や飲み物に広く使われる果実で、その種子に含まれる天然多糖には凝集作用がある。これまで汚染水など排水処理への応用が研究されてきた。

今回の技術は廃棄されたタマリンドの種子を活用する。電力や複雑な設備を必要とせず、低コストで導入しやすい。 すでにワークショップや実演を通じて8000人以上に展開したという。現在はインド工科大学グワハティ校(IIT Guwahati)のラジェシュ・カンデルワル博士から助言を受け、技術の試験やさらなる開発を進めている。

アジア初のグローバル優勝 実用化にはさらなる検証も

チームはアースプライズ 2026でアジア地域賞を受賞し、賞金1万2500ドルを獲得。その後、約2万3000人による一般投票によって、7つの地域優勝チームの中からグローバル優勝者にも選ばれた。インドからは初めての受賞だ。

3人は各地域で安全な飲料水へのアクセスを確保するため、地域ごとに生産拠点を設け、インド全土の農村地帯へ技術を広げていく計画だという。

一方で、Plas-Stickは現在も開発段階にあり、第三者機関による科学的な検証はまだ行われていない。実用化や普及に向けては除去性能や安全性、耐久性などについて、今後さらなる検証が求められる。

それでも、農業廃棄物を有効活用し、合成化学物質に頼らずマイクロプラスチックの回収を目指すこの技術は、地域で身近に手に入る資源から環境課題の解決策を生み出す、新たなイノベーションとして期待されている。

※掲載している情報は、2026年8月3日時点のものです。

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