電力の99%を化石燃料に頼らない国、スウェーデン 誤情報の逆風も

草原と風力発電のタービン

Photo by Zac Wolff on Unsplash

スウェーデンでは、2025年の電力の99%が化石燃料を使わないエネルギーによって供給された。一方で、風力発電をめぐる偽情報や誤情報がSNS上で拡散され、再生可能エネルギー普及への影響も懸念されている。

natsumi_kawaide

ライター

フランスのパリに滞在中、ライターとして欧州の旅行見本市や日本文化イベントを取材。帰国後は旅行情報誌の編集に携わり、現在はフリーランスのライターとして活動している。

2026.06.01

電気代がマイナスになる時間も

フィンランド、ノルウェーなどの北欧諸国では、水力発電と風力発電を積極的に導入してきた。

スウェーデンも同様の取り組みを進め、2025年には国内電力の99%が化石燃料を使わないエネルギーによって供給された。これはEU諸国のなかでも、もっとも高い割合だ。内訳は、水力発電が40%、原子力発電が27%、風力発電が23%、太陽光発電が2%だった。

エネルギー関連シンクタンク「Ember」によると、スウェーデンが2025年に化石燃料に依存した電力はわずか1.2%で、1人あたりの排出量もEU諸国の平均を大きく下回るとみられる。

再生可能エネルギーの割合が高いことから、スウェーデン北部の地域では2025年、余剰な電力があふれたことで電気料金がマイナスになった時間が合計で679時間もあったという。

日本を含め、世界中がエネルギー価格高騰に見舞われるなか、電気料金が低価格で安定していることは非常に魅力的なことだろう。

風力発電をめぐる誤情報、スウェーデンで拡散

一方で、風力発電をめぐっては、SNS上で偽情報や誤情報の拡散が問題視されている。例えば、「健康被害を引き起こす」「騒音被害を生む」「不動産価値を下げる」といった主張の投稿だ。

欧州風力発電協会「WindEurope」とリサーチ企業「CASM Technology」が行った分析で、FacebookやInstagram、X、YouTube、TikTok、LinkedInでの反風力発電に関する4万2000件以上の投稿のうち、68%以上が偽情報または誤情報を含む内容だったという。

だが、これらの投稿は、「いいね」やシェアなど630万件以上のエンゲージメントを生み、数千万回にわたって閲覧されていた。また、スウェーデンは反風力発電の偽情報と誤情報の投稿数が約7000件と、もっとも多かった国だったことも報告されている。

こうした偽情報や誤情報はオンライン上の議論にとどまらず、実際の再生可能エネルギー事業にも影響を与えている。過去には、誤情報や反対論によって再生可能エネルギー事業の延期や中止につながったケースまで出ているという。

また報告書では、風力発電に関する偽情報や誤情報が「民主主義や公共的議論への大きな脅威」になり得るとも指摘している。

さらにEU市民の80%以上が、過去1週間で偽情報やフェイクニュースに接触したと感じているとの調査結果も。SNS上で気候変動やエネルギー政策に関する情報が急速に広がる一方で、信頼できる正しい情報を見極める難しさが課題となっている。

再生可能エネルギーの導入が進むなか、技術そのものだけでなく、正確な情報に基づいた議論の重要性も、あらためて問われているようだ。

※掲載している情報は、2026年6月1日時点のものです。

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