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東南アジアに浮かぶボルネオ島で、パーム油の原料となるアブラヤシの農園を「緑の回廊」として再生し、さらにサファリの舞台としても活用しようとする取り組みが進んでいる。森林破壊の原因とされてきたアブラヤシ農園を自然保護とツーリズムに活かすという、新たな保全モデルだ。

Aoi Kurogi
ライター
元新聞記者。幼少期に地球温暖化のドキュメンタリーを見て以来、環境問題に興味を抱く。現在は国際環境NGOなどでも執筆活動中。
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ボルネオ島に生息するボルネオゾウ
ボルネオ島で、パーム油の原料となるアブラヤシの大規模農園(プランテーション)を野生動物の移動経路として再生し、さらにエコツーリズムにも活用する新たな保全モデルが進んでいる。
中心となっているのはボルネオ島で熱帯雨林保護に取り組むNGO「1StopBorneo Wildlife」だ。同団体は荒廃したアブラヤシ農園に着目し、野生動物が行き来できる回廊づくりを開始した。さらに農園内で野生動物を観察するサファリパークも展開し、ツーリズム収益を保全活動へ還元する循環モデルを構築している。
アブラヤシ農園は広大な土地を必要とするため、これまで森林伐採や野生生物の生息地喪失につながるとして問題視されてきた。
その農園が緑の回廊として機能することで、長年分断されていた森林地帯が再びつながり、絶滅危惧種のオランウータンやボルネオゾウが戻り始めているという。
「1StopBorneo Wildlife」がサバ州でアブラヤシ栽培などを手がけるテック・グアン・プランテーション社と連携し、農園内に「緑の回廊」を生み出すための植樹を開始したのは、2024年のことだ。ボルネオ島に160種以上も自生するイチジクを中心に植え、フクロウの巣箱やヘビの生息環境も整備した。
イチジクは一年中実がなり、サイチョウやコウモリ、ニシキヘビ、オランウータンなど多様な生き物の食料源となる。フクロウやヘビが増えることで、アブラヤシを食害するネズミが減少し、農薬使用量の削減にもつながっているという。
かつては通り抜けることができなかった農園だが、回廊の設置により70年間分断されていた森林地帯と原生林が再びつながり、野生生物たちにとって安全な移動経路となった。
2025年からはKTSプランテーション社のスガリウド・ロカン農園で新しいプロジェクトを開始した。農園内の野生生物を観察するエコツーリズムだ。保護区でも国立公園でもない、現役のプランテーションがサファリの舞台になる。
ツーリズムの収益を、回廊整備や植樹などの保全活動に還元するという循環モデルも構築した。観光収入が軌道に乗れば、パーム油以外の収入をもたらすため、さらなる森林伐採を防げる可能性がある。さらには観光客が農園内を観察することで、農場運営の透明性が高まることも期待されている。
マレーシアはインドネシアに次ぐ世界第2位のパーム油生産国で、ボルネオ島はその主要な生産地だ。サバ州ではアブラヤシが州最大のプランテーション作物で、農園面積は州面積の約24%におよぶ。
州政府は2026年2月、自然保護区を新たに追加し、保護区の総面積は州全体の約30%に達した。
しかし保護区外では依然として大規模プランテーションが広がり、野生生物の生息地は減少しているのが現状だ。
とくにボルネオゾウのような大型動物は移動範囲が広く、保護区だけでは十分な生息環境を確保できないとも指摘される。
同NGOも当初はアブラヤシ農園に否定的な立場をとっていた。しかし、すでに広範囲に拡大した農園地帯を前に、対立ではなく共存の発想が必要であるとの考えに至った。
環境破壊の象徴とされてきたアブラヤシ農園が生物多様性を支える場となりえることを、この取り組みは示している。
※参考
Safaris turn Malaysian oil palm plantations into wildlife corridors | Nikkei Asia
Teck Guan Wildlife Corridor | TECK GUAN Group of Companies
世界のパーム油生産量 国別ランキング | Global Note
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