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子どもの肥満率の高さや虫歯が大きな問題となっている英イングランドでは、学校で提供される給食メニューの抜本的な見直しが進められている。課題もあるなか、2027年の導入を目指す。

Kojiro Nishida
編集者・ライター
イギリス、イースト・ミッドランズ地方在住。東京の出版社で雑誌編集に携わったのちフリーランスに。ガーデニングとバードウォッチングが趣味。

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英国イングランドの学校給食が、大きく変わろうとしている。
政府が打ち出した新たな基準によると、小中学校の給食において、揚げ物の提供が全面的に禁止され、デザート類は週1回までに制限される。さらにその内容も、50%以上が果物に限られる。またソーセージロールやピザなど、手軽な一方で栄養価の低い食品は毎日の提供が禁止され、週の大半で果物に変わる。
揚げ物は基本的に禁止となるが、国民食であるフィッシュアンドチップスのように衣をつけて油で揚げる魚料理は、例外的に週に1回だけ認められるという。
主菜は栄養バランスを重視したものになり、すべての食事に少なくとも1品は野菜またはサラダが添えられることが義務付けられる。
これらの基準は2014年以来初の見直しであり、栄養士や専門家の意見をもとに策定された。
対象となるのはイングランドの小中学校で、朝食と昼食の両方に適用される。果物や野菜、全粒穀物の割合を増やすことで食物繊維の摂取量を高めることが目的だ。各学校は給食のメニューをオンラインで公開することが義務付けられ、透明性の向上も図られる。
この改革の背景にあるのは、イングランドが抱える子どもの健康問題の深刻さだ。小学校を卒業する時点で、約3人に1人が過体重または肥満とされており、さらに高糖質の食生活から、5〜9歳までの子どもの入院理由では「虫歯」がトップとなっている。
英国のスターマー首相は、給食の新基準導入について、「学校で提供される食事の質を高めることで、保護者の方にも安心していただける環境を整えます。これは、現在の生活費の負担を軽減すると同時に、将来の健康を支える取り組みでもあります」と話している。
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2025年に行われた調査によると、学校給食1食あたりにかかる実費は約3.45ポンドであるのに対し、イングランドで無料の給食のために学校に支給されている補助額は1食あたり2.61ポンドと、不足している現状にある。学校・カレッジ指導者協会は、給食の質向上については「全面的に支持する」としながらも、実現するためには追加の資金が不可欠だと指摘している。
今回の改革案をめぐり、政党からもさまざまな意見が出ている。
自由民主党のムニラ・ウィルソン氏は、給食の質向上の必要性を認めつつも、「現場では食費の高騰への不安が広がっており、現在の予算では不十分なため、量を減らしたり質を下げたりせざるを得ない学校もある」とし、政府に早急な対応を求めている。
一方で、改革UK党の広報担当者は「政府が人々の生活に過度に介入している」と批判。「余裕のない学校にさらなる負担をかけるだけだ」とし、教育や家庭での意識、そして健康的な食品にアクセスできる環境づくりこそが重要だと主張している。
これに対し、緑の党はこの改革案について「歓迎すべきであり、むしろ遅すぎた」と評価。さらに生活費の高騰や低賃金といった、食の問題の根本原因にも取り組む必要があると訴えている。
他にも、女優のエマ・トンプソン氏やシェフのジェイミー・オリバー氏など、著名人からもこの改革案に賛同する声が上がっている。
こうした議論のなか、政府は現在9週間の意見募集を実施しており、最終的な基準は2026年9月に発表される予定だ。実際に導入されるのは2027年9月を予定している。
※参考
Deep-fried food and pizza to be banned from school menus in obesity crackdown|INDEPENDENT
Deep-fried food banned in new plans for school dinners|BBC
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