Photo by Duman Shaker on Unsplash
カザフスタン政府が、生物多様性を守る新たな国家戦略を採択した。特別保護地区の拡大や森林管理の強化などを通じて、自然と共生する社会づくりを進める。

Ouchi_Seiko
ライター
フランス在住。美容職を経て2019年よりライターに。居住地フランスのサステナブルな暮らしを手本に、地球と人にやさしい読みものを発信。
カザフスタン政府は、「生物多様性の保全と持続可能な利用に関する構想」戦略を採択した。これは、自然保護や生態系の回復、資源の持続可能な利用を推進する国家レベルの取り組みである。2035年までの今後10年間で、特別保護地区を大幅に増やすことなどを目標としている。
この戦略は、1994年にカザフスタンで承認された「生物多様性条約」に基づいており、2050年までに自然との調和回復を目指す「昆明・モントリオール生物多様性枠組」にも対応している。国の自然遺産を守りつつ、国民の幸福と持続可能な発展の基盤を支えるというものだ。
カザフスタンにおける国連開発計画(UNDP)の副常駐代表、スフロブ・ホジマトフ氏は、「生物多様性の保全は、地球の存続を左右する共同の責任です。この採択は、生態系の回復力を強化し、将来の世代のために自然の豊かさを守る助けとなるでしょう」と述べている。
Photo by Ivan Oleynikov
今回の戦略は、8つの主要な優先事項と13の指標で構成されている。
まず、第1の優先事項は、特別保護地区を大幅に拡大すること。2035年までには、現在の3,100万ヘクタールから、3,320万ヘクタールへと面積が増える見込みだ。
第2の優先事項としては、森林保護の強化と持続可能な森林管理が挙げられる。森林面積を現在の1,390万ヘクタールから1,470万ヘクタールへと広げるほか、木材加工産業の生産量を2035年までに5倍にする計画も立てられている。
第3の優先事項では、野生動物の監視と保護、および持続可能な管理体制を強化する。これには、カザフスタン国内の絶滅危惧種(レッドリスト)として掲載された種の保全なども含まれている。
第4の優先事項は、魚類・天然水産資源の保護である。カザフスタン政府は、それらの監視を強化し、環境や人間活動によるリスク要因についての研究もすすめていく。また、第5および第6の優先事項では、植物の多様性保全や牧草地の劣化問題にも取り組むという。
残る2つの優先事項は、生物多様性の保全と持続可能な利用に関する、システム全体の基盤づくりだ。データを集めて整理し、指標を整えることで、将来に向けた長期戦略の策定が可能になる。
生物学博士候補のアレクサンダー・ベルベル氏によると、生物多様性保全を国家レベルで推進することは、政府機関や国際機関、NGO、民間部門の取り組みを結集することにつながるという。その結果、希少種・重要種の保護だけでなく、生息地も含めた自然全体の保全と回復が進むと期待される。
日本の国土の約7倍と、もともと広大な土地を持つカザフスタンだが、今後10年間は開発よりも自然保護を優先する方向へと舵を切ることになった。この戦略により、中央アジアにおける自然保護のリーダーとしての役割もさらに強化されるだろう。
※参考
Kazakhstan adopts Biodiversity Conservation Concept for 2026–2035|UNDP Kazakhstan
Kazakhstan Plans to Expand Nature Reserves by Two Million Hectares by 2035|The Times Central Asia
ELEMINIST Recommends