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「JOMO(ジョーモ)」とは、取り残されることの喜びを意味する。反対語は「FOMO(フォーモ)」で取り残される恐怖を指す。近年注目されているJOMOのメリット、今日からできる実践ステップをわかりやすく紹介する。

ELEMINIST Editor
エレミニスト編集部
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「JOMO」とは、「Joy of Missing Out」の略称で「ジョーモ」と呼ぶ。直訳すると「取り残される喜び」という意味だ。SNSなどの情報流入からあえて距離を置き、「今この瞬間の体験」や「自分自身の時間」を大切にすることで得られる幸福感を指す。
単なる情報の遮断ではなく、何に時間を使うかを自分で主体的に選ぶというポジティブなライフスタイルを象徴する言葉だ。
JOMOを理解する上で欠かせないのが、対義語である「FOMO(フォーモ)」。これは「Fear of Missing Out」の略で「取り残される恐怖」を意味する。JOMOは「内(自分)」に向けたエネルギーであるのに対し、FOMOは「外」に向けたエネルギーであるという点が最大の違いだ。
| JOMO(取り残される喜び) | FOMO(取り残される恐怖) | |
|---|---|---|
| 心理状態 | 安心、充足感、自由 | 不安、焦燥感、嫉妬 |
| SNSとの距離 | 必要な時以外は通知をオフにする | 常にチェックしないと落ち着かない |
| 判断基準 | 自分が何をしたいか | 他人が何をしているか |
| 時間の使い方 | 自分の好きなことに没頭する | 誘いや情報に振り回される |
かつては、最新の情報をキャッチしないことや流行に乗り遅れることはネガティブに捉えられていたかもしれない。だが、現代ではなぜJOMOが支持されているのだろうか?
24時間いつでも届く通知、常に更新されるタイムライン……。現代人の脳は、処理しきれないほどの情報量にさらされ続けている。この「常に接続されている状態」への疲れ(デジタル・バーンアウト)が限界に達し、反動として「つながらない贅沢」を求める人が増えている。
SNSで他人のキラキラした生活を自分と比べてしまい、自己肯定感が低下する現象が社会問題となっている。JOMOは、あえて比較対象を視界から消すことで、ありのままの自分を認めるための「心の防衛策」として機能している。
コロナ禍で強制的に対人関係が制限された際、多くの人が「本当に会いたい人は誰か」「自分にとって心地よい過ごし方は何か」を再考することになった。この経験が、無理な付き合いを断り、一人の時間を楽しむJOMOの考え方を定着させる後押しとなった。
所有物を減らすミニマリズムの考え方が、物理的なモノから「情報」や「人間関係」へと広がっている。広く浅いつながりよりも、狭く深い充実感を求める層にとって、JOMOは非常に親和性の高い概念なのだ。
JOMOを意識的に生活に組み込むことで、私たちの心と体には驚くほどポジティブな変化が現れるだろう。
私たちは1日に数十回、人によっては数百回もスマホの通知を確認していると言われている。それだけ、脳はさまざまな動作を行いながらも、マルチタスクをこなしているわけだ。だから、JOMOを実践し情報の遮断を選択することで、通知に邪魔されない時間をつくり、仕事や勉強、趣味に対して深い集中状態をつくれる。脳のエネルギーを「アウトプット」に集中させられるため、短時間で質の高い成果を出せるようになるだろう。
FOMOの状態では、SNSを通じて無意識に他人と自分のを比較し、落ち込んでしまいがち。でもJOMOを取り入れれば、「他人が何を食べているか」「どこへ行ったか」という情報が入らなくなり、自然と意識は「自分が今、何をしたいか」に向く。例えば、「おいしいコーヒーを楽しむ静かな時間」や「家族との会話」といったささやかな幸せに気づけるようになり、自分を肯定して心の充足感が得られるようになる。
私たちの脳は、24時間絶え間なく流れ込む情報によって、常に興奮状態にあると言ってもいいかもしれない。だが、JOMOを意識してとくに夜間のデジタルデバイスを控えることで、副交感神経が優位になり、深い眠りにつきやすくなる。また、「常に何かしなければならない」という強迫観念から解放され、心に「余白」が生まれ、きっと心の健康を保つことにつながるはずだ。
JOMOは決して孤立することではない。むしろ、人間関係の「質」を見極める行為と言える。会食中にスマホを置いて、相手の話に真剣に耳を傾けるといったことで、目の前の人との信頼関係が深まる。また、本当に会いたい人とだけ過ごす時間を選ぶことで、気疲れしない、心地よい人間関係を大切にできる。
JOMOは、決して難しいことではない。日常の小さな習慣を選択し直すだけで、誰でもすぐに始められる。ここでは具体的な5つのステップを紹介するが、最初から完璧に5つすべてをやろうとしなくてもいい。「これなら自分にも取り入れやすそう」と思うことを、1つでもいいから始めてみるのがおすすめだ。
スマホの通知が鳴るたびに、私たちの集中力は途切れてしまう。まずは「情報の入り口」を整理しよう。電話や特定のチャットなど、本当に緊急の連絡以外については、すべての通知をオフにして、自分のタイミングで見に行くスタイルに変えよう。
例えば、食事中、入浴中、寝る前など、スマホを触らない「デジタルフリータイム」をつくろう。その時間は、スマホを別室に置くか、電源を切ることをルールにしよう。とくに寝る前のスマホ断ちは、脳の興奮を鎮め、深い眠りへと誘ってくれる。
JOMOの本質は、自分にとって本当に大切なものを選ぶことにある。気乗りしない誘いや、SNS上の不必要なやり取りに「No」と言うことは、自分自身を大切にすることと同義だ。だれかから誘いを受けたら、即答する前に「今の自分にその時間(エネルギー)はあるか?」と自問してみよう。
スマホのようなデジタル情報ではなく、手触り、香り、音など「五感」を刺激する活動に没頭する時間をつくろう。例えば、料理で季節の食材の香りを楽しむ、草花や空気のにおいを感じながらの散歩といった時間だ。オフラインの活動は、脳をリフレッシュさせ、確かな充実感を与えてくれる。
マインドフルネスとは、「いまこの瞬間」に意識を向けて、ありのままのいまを受け入れる心の状態のこと。難しく考える必要はなく、瞑想の時間を設けなくてもOKだ。例えば、コーヒーを飲むとき、その温かさや苦味だけに集中する。これだけで立派なマインドフルネスになる。情報の波に流されず、自分の「いま」をしっかりと味わう意識をもつ時間をつくってみよう。
JOMOを習慣化して取り入れ、その心地よさを体験するためのツールやアイデアを紹介しよう。
まずは、iOSでもAndroidでも標準機能として備わっているスクリーンタイム管理を見てみよう。1日にどのアプリを何時間使っているかを可視化し、特定のアプリに時間制限をかけることで、無意識なSNSチェックにストップをかけられる。
「Forest」は、スマホを触らない時間だけアプリ内の木が育つという仕組み。途中でスマホを操作すると木が枯れてしまうところがポイントで、スマホ断ちを後押ししてくれる。スマホ依存対策として知られ、生産性や集中力アップにも役立つだろう。
マインドフルネス&瞑想アプリとして世界でもよく知られているアプリ。雨の音や薪が燃える音などが流れ、短時間から瞑想を実践できる。ストレスや不安を軽減し、メンタルヘルスケアにつながると期待できる。
デジタルが当たり前の現代だからこそ、自分の手で自分の気持ちを書き出すという行為を取り入れてはどうだろう?思考が整理され、きっと落ち着きを取り戻せるはずだ。その日の感情や、デジタルから離れて気づいた小さな幸せを書き留める「JOMO日記」もおすすめ。
通知の入らない紙の本は、もっとも手軽なJOMOツールのひとつ。文字を追い、想像を膨らませる体験は、情報の海に疲れた脳を深いリラックス状態へと導いてくれる。
JOMOは、世の中から孤立することや、テクノロジーを否定することではない。溢れかえる情報の波に飲み込まれず、「自分にとって本当に大切なものは何か」を自らの意思で選び取ること。それこそがJOMOの本質といえる。
「みんなが知っていること」を知らなくても、自分の価値が落ちることは決してない。むしろ、その取り残された時間にこそ、人生を豊かにするヒントが隠されているかもしれない。まずは、寝る前の10分間だけでもスマホを置く習慣をはじめてみてはどうだろう。
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