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イングランドでは、ロブスターやカニを生きたまま熱湯で茹でる行為が禁止される。甲殻類は痛みを感じるという法的認定を踏まえ、より人道的な方法が求められる。

Ouchi_Seiko
ライター
フランス在住。美容職を経て2019年よりライターに。居住地フランスのサステナブルな暮らしを手本に、地球と人にやさしい読みものを発信。
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ロブスターを生きたまま茹でるという調理方法が、イングランドで禁止される。動物福祉の改善を目的とした政府戦略の一環で、政府閣僚は、「生きたまま茹でる行為は甲殻類にとって容認できる方法ではない」と表明している。代替方法については、今後具体的なガイドラインが公表される方針だ。
ロブスターを生きたまま熱湯に入れる行為は、スイスやノルウェー、ニュージーランドではすでに違法とされている。動物福祉団体によれば、電気ショックで気絶させる方法や、冷気・氷で意識を鈍らせてから調理する方が、苦痛を大幅に減らせるという。
今回の禁止措置は、2022年に成立した法律を土台としている。同法では、タコやカニ、ロブスターといった無脊椎動物も、「感覚を持ち、痛みを感じる」と公式に認められた。哺乳類や鳥類と同じく、苦痛を回避すべき対象だと位置づけたものだ。
甲殻類の保護を訴える慈善団体「Crustacean Compassion」の代表、ベン・スタージェン氏は、政府の決定を歓迎しつつ、「生きたまま意識のある動物が沸騰した湯のなかに入れられれば、数分間にわたって耐え難い激痛を受けることになる。これは拷問であり、完全に回避可能だ」と述べている。
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イングランドの動物福祉戦略は、ロブスターだけにとどまらない。同時に発表された改革案には、鶏のケージ飼育、豚の分娩用クレート(拘束柵)、「パピーファーム(子犬の大量繁殖施設)」の禁止などが含まれている。また、養殖魚についても、人道的な処分基準が導入される方向だ。
加えて、この改革案では、狩猟分野への規制強化も盛り込まれている。たとえば、繁殖期のノウサギの射殺禁止や、「トレイルハンティング」の廃止案だ。トレイルハンティングとは、動物の匂いを頼りに犬が生きたキツネやシカ、ノウサギなどを追跡する方法。キツネ猟の抜け道とされてきたが、対象をキツネにも拡大するという。
これに対し、英国の政党「リフォームUK」のナイジェル・ファラージ党首は、「権威主義的な管理だ」と反発。「犬はウサギやキツネを追いかけるものなのだから、田舎での犬の散歩も禁止したほうがいいだろう」と発言した。
とはいえ、英国では狩猟規制の強化を支持する声が多い。世論調査では、リフォームUKの支持者でも、65%が野生動物の狩猟を「容認しない」と答えている。
今回の規制はイングランドに適用されるもので、英国全体におよぶものではない。しかし、動物をどう扱うかという問題は、単なる感情論ではなく、社会の価値観そのものを映し出している。食文化・伝統・倫理の関係性を、改めて問い直すきっかけになりそうだ。
※参考
Boiling lobsters alive to be banned in England amid animal cruelty crackdown|The Guardian
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