米企業の不平等を浮き彫り コスメのe.l.f.が一石を投じた「男だらけキャンペーン」

e.l.f の男ばっかりキャンペーンビジュアル

Photo by e.l.f via Business Wire

米国の上場企業の取締役は大半が男性。米発のコスメブランド「e.l.f」は、そんなデータを明らかにし、2024年から「男だらけ(So Many Dicks)キャンペーン」を開始。米国に存在するジェンダーギャップに疑問を呈した。

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2025.08.25
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米国企業の幹部は男性で占められている

「e.l.f.(エルフ)」は、米国で生まれた自然派コスメブランドで、米国のみならず世界中に展開し人気を呼んでいる。そんな同ブランドが2024年から展開しているキャンペーンが話題だ。

その名も「So Many Dicks(たくさんのディックス)」キャンペーン。米国上場企業4,429社の取締役36,957人について調べたところ、「ディック」「リチャード」「リック」という名前の男性が566人と1.5%も占めていたことがわかった。

ちなみに、取締役36,957人のうち、黒人女性は806人、中東系の女性は29人だった。つまり、米国の上場企業の取締役の大半は男性で、少数派は少ないということだ。

これを皮肉にして、キャンペーンタイトルを設定。「ディックス(という名前の人)は多いが、それ以外は少ない」をキャッチコピーに、白人男性の顔写真ばかりが並んだビジュアルとともに大々的なキャンペーンを展開してきた。

この結果は予想以上に大きかったようで、LinkedInでの投稿では、インプレッションが7200%増加、リポストは3000%近くまで増加した。

e.l.fは従業員の75%が女性 売上は右肩上がりで株価は700%UP

女性が多いからといって、業績が悪いということはない。e.l.f.では、取締役会の78%、約500人の従業員の75%が女性で、全体の40%は有色人種だ。トランスジェンダーやノンバイナリーのモデルも多く起用している。

米国の上場企業4,429社のうち、これほど多様性に富んだ構成の企業は、e.l.f.を含めてわずか4社のみだ。

そして、同社は20四半期連続で売上高が伸び、株価は2020年以来、700%以上も上昇するなど、大きく業績を伸ばしている。このように、取締役のジェンダーが多様であったり、有色人種の割合が多かったりする企業は、そうでない企業よりも業績が優れている可能性が高いという。

e.l.f.のブランド名は、「eyes(目)」「lips(口)」「face(顔)」の頭文字から取って付けられたように、多様性や公平性、インクルージョンなどに積極的に取り組んできた。

とくに近年は、トランプ大統領が多様性などに関するプログラムを終了する大統領令に署名。この影響で、米国内で多様性などの取り組みを後退させる企業やブランドが出てきている。そのようななか、e.l.f.は一貫して多様性のメッセージを発信してきた。

今回のキャンペーンが米国内で注目を集めたように、改めて多様性について見直す動きが出てくるかもしれない。

※掲載している情報は、2025年8月25日時点のものです。

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