Photo by Aircela
空気からガソリンをつくる。そんな夢のようなストーリーを実現したのが、米ニューヨークを拠点とするテック企業、エアセラ(Aircela)だ。大気中のCO2を回収し、水を電気分解することで得られる水素を混合し、ガソリンにする。
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ニューヨークを拠点とするエアセラ(Aircela)は6月、空気からガソリンをつくる、米国初というマシンを披露。高層ビルが建ち並ぶ大都会のビルの屋上で、ガソリンができるまでの工程を紹介した。
その工程は次のとおりだ。
(1)空気からCO2を回収する
水酸化カリウム(KOH)を含む水溶液を用いて、大気中からCO2を直接回収する
(2)水から水素をつくる
再生可能エネルギーで水を電気分解して、水素と酸素に分解する。酸素は放出される
(3)ガソリンにする
1のCO2に2の水素を合わせ、メタノールを経て、ガソリンになる
Photo by Aircela
マシンは六角形のモジュールが3つ連結したかたち。3つのモジュールそれぞれで、上記の(1)~(3)の工程が行われ、マシンの横についたノズルから、できあがったガソリンを直接注げる仕組みだ。
このマシンを1日24時間稼働させると、1日に約1ガロン(4.55リットル)のガソリンが生成可能。化石燃料を一切使わないガソリンだ。できあがったガソリンは、自動車などにそのまま使えるという。
Photo by Aircela
コンパクトなマシンで、ニューヨークのような大都会でもガソリンの製造が可能だ。
空気から燃料をつくるという発想は、決して珍しいものではない。ビル・ゲイツが支援する「カーボン・エンジニアリング」のほか、英ケンブリッジ大学などが研究を行っている。だが、これらはとくに航空業界や重工業を主体とした大規模事業を考えたものだ。
それに対し、エアセラは小型機械の開発に注力してきた。
「コンパクトなマシンを設計することで、必要な場所で燃料を直接生産できるため、輸送コストの削減と物流のシンプル化で、遠隔地や燃料供給が困難な場所でも生産が可能になる」と、同社の工業デザイン責任者であるリズ・ホワイトは語っている。
同社の開発もまだ発展途上ではあるが、「空気からガソリンをつくる」技術はきっと、燃料の世界に新たな光になるに違いない。
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