最新「ジェンダー不平等指数」全ランキング 日本は22位

草原に並んで空を見上げる若者

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ジェンダー不平等指数(GII)とは、男女間の不平等に関する指標で、国連開発計画(UNDP)が発表している。「ジェンダーギャップ指数(GGI)」との違いは何か、わかりやすく解説。また、2025年発表の最新のジェンダー不平等指数全172か国のランキングと日本の順位を紹介する。

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2025.07.16

ジェンダー不平等指数(GII)とは わかりやすく解説すると…

ジェンダー不平等指数」とは、国家の人間開発の達成がジェンダーの不平等によってどの程度妨げられているかを示した指数。国連開発計画(UNDP)が2010年から導入した。英語で「Gender Inequality Index」といい、「GII」と略される。

指標の方法と特徴

ジェンダー不平等指数は、以下の3つの側面について5つの指標で測定される。

●リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)
・妊産婦死亡率
・若年(15歳~19歳)女性1,000人あたりの出産数

●エンパワーメント
・国会議員の女性の割合
・中等教育以上の教育を受けた人の割合(男女別)

●労働市場
・労働力率(男女別)

ジェンダー開発指数(GDI)とジェンダーエンパワーメント指数(GEM)から変更

国連開発計画では、1995年から「ジェンダー開発指数(Gender-related Development Index、GDI)」という指標を使用していた。人間開発の3つの基本的な側面である「健康」「知識」「生活水準」におけるジェンダーの格差を示す。

また、政治・経済活動における女性の活躍度を示す「ジェンダーエンパワーメント指数(Gender Empowerment Measure、GEM)」も使われてきた。

だが国連開発計画で、ジェンダー開発指数(GDI)とジェンダーエンパワーメント指数(GEM)に変わる新たな指標として、2009年にジェンダー不平等指数GII)を発表したのだ。

ジェンダーギャップ指数(GGI)との違いは?

ジェンダー不平等指数と似たものに、「ジェンダーギャップ指数(Gender Gap Index、GGI)」がある。ジェンダーギャップ指数は、経済、教育、健康、政治の4つの分野で評価を行う。

ジェンダーギャップ指数は各国における男女格差を示すのに対し、ジェンダー不平等指数はジェンダーの不平等によってどのくらい国家の人間開発の妨げになっているかを示す点で違いがある。

2025年「ジェンダーギャップ指数」全ランキング 日本は118位

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最新2025年「ジェンダー不平等指数(GII)」ランキング

2025年5月に発表された2025年版ランキングについて、全172か国のスコアを紹介しよう。スコアは0に近いほど平等で、1に近いほど不平等であることを表す。

順位国名スコア
1位デンマーク0.003
2位ノルウェー0.004
3位スウェーデン0.007
4位スイス0.010
5位オランダ0.013
5位フィンランド0.021
7位アイスランド0.024
8位ベルギー0.031
8位シンガポール0.031
10位オーストリア0.033
11位フランス0.034
12位韓国0.038
13位アラブ首長国連邦0.040
14位スロベニア0.042
15位スペイン0.043
16位イタリア0.043
17位ルクセンブルク0.044
18位カナダ0.052
19位アイルランド0.054
20位オーストラリア0.056
21位ドイツ0.057
22位日本0.059
23位エストニア0.061
24位リトアニア0.070
25位クロアチア0.074
26位ポルトガル0.076
27位イスラエル0.080
27位ベラルーシ0.080
29位ポーランド0.081
30位ニュージーランド0.082
31位英国0.083
32位チェコ0.088
33位チリ0.102
34位ギリシャ0.103
35位アルバニア0.107
36位マルタ0.111
37位北マケドニア0.112
38位ラトビア0.117
38位セルビア0.117
40位モンテネグロ0.121
41位中国0.132
42位モルドバ0.146
43位ボスニア・ヘルツェゴビナ0.157
44位バーレーン0.165
45位米国0.169
45位ロシア0.169
47位マレーシア0.172
48位スロバキア0.176
49位アルメニア0.180
50位カザフスタン0.182
51位クエート0.188
52位カタール0.195
53位ブルガリア0.208
54位ハンガリー0.213
55位コスタリカ0.217
56位ウルグアイ0.218
57位オマーン0.222
58位グレナダ0.226
59位トルコ0.227
59位ルーマニア0.227
61位サウジアラビア0.228
62位チュニジア0.238
63位アンティグア・バーブーダ0.240
64位キプロス0.252
65位リビア0.253
66位ジョージア0.257
66位ブルネイ・ダルサラーム0.257
68位タジキスタン0.258
69位トリニダード・トバゴ0.262
70位アルゼンチン0.264
71位ブータン0.278
72位モンゴル0.284
73位タイ0.288
74位ウズベキスタン0.291
75位キューバ0.296
76位バルバドス0.297
77位カーボベルデ0.298
78位ベトナム0.299
79位モルディブ0.309
80位アゼルバイジャン0.315
81位バハマ0.325
82位セントルシア0.327
83位ペルー0.340
83位キルギス0.340
85位フィジー0.350
86位フィリピン0.351
87位モーリシャス0.352
88位メキシコ0.358
88位エクアドル0.358
88位ジャマイカ0.358
91位レバノン0.360
92位エルサルバドル0.362
93位スリランカ0.367
94位パナマ0.374
95位南アフリカ0.388
96位ブラジル0.390
97位スリナム0.391
98位コロンビア0.393
99位東ティモール0.394
99位ルワンダ0.394
101位エジプト0.398
102位インド0.403
103位ニカラグア0.408
104位パラグアイ0.412
105位サモア0.416
106位ドミニカ共和国0.417
107位ボリビア0.419
108位インドネシア0.423
109位ガイアナ0.427
110位ベリーズ0.428
111位ヨルダン0.433
112位ホンジュラス0.437
113位モロッコ0.438
114位アルジェリア0.443
115位トンガ0.444
116位ナミビア0.448
117位ラオス0.475
118位ミャンマー0.478
118位ソロモン諸島0.478
120位モザンビーク0.479
121位グアテマラ0.480
122位ジブチ0.481
123位イラン0.482
124位エスワティニ0.484
125位バングラデシュ0.487
125位ネパール0.487
127位ボツワナ0.490
127位シリア・アラブ共和国0.490
127位セネガル0.490
130位サントメ・プリンシペ0.492
131位エチオピア0.497
132位コモロ0.501
132位ブルンジ0.501
134位タンザニア0.504
135位ガボン0.505
136位カンボジア0.506
137位ベネズエラ0.512
138位ガーナ0.514
139位アンゴラ0.515
140位ジンバブエ0.519
141位ザンビア0.524
141位ウガンダ0.524
143位ケニア0.526
144位レソト0.534
145位パキスタン0.536
146位ブルキナファソ0.555
147位バヌアツ0.556
148位イラク0.558
148位カメルーン0.558
150位トーゴ0.564
151位コンゴ0.565
152位シエラレオネ0.566
153位ベナン0.573
154位ガンビア0.578
155位マラウイ0.581
156位パプアニューギニア0.584
156位マダガスカル0.584
158位スーダン0.588
159位コートジボワール0.589
160位ニジェール0.591
161位モーリタニア0.603
162位コンゴ民主共和国0.604
163位ギニア0.609
164位マリ0.612
165位ハイチ0.618
166位ギニアビサウ0.632
167位リベリア0.646
168位アフガニスタン0.661
169位チャド0.670
170位ソマリア0.675
171位ナイジェリア0.677
172位イエメン0.838

欧州がジェンダーギャップ指数とも上位

ジェンダー不平等指数ランキングで上位を占めたのは欧州勢だ。ジェンダー不平等指数は、ジェンダーギャップ指数とは評価項目が異なるため、それぞれで順位がかなり異なる国も多い。だが、欧州各国はジェンダー不平等指数とジェンダーギャップ指数の両方でよいスコアとなる国が多く、幅広い分野で男女の格差が小さいことがうかがえる。

順位ジェンダー不平等指数ジェンダーギャップ指数
1位デンマークアイスランド
2位ノルウェーフィンランド
3位スウェーデンノルウェー
4位スイス英国
5位オランダニュージーランド
5位フィンランドスウェーデン
7位アイスランドモルドバ
8位ベルギーナミビア
8位シンガポールドイツ
10位オーストリアアイルランド

日本は世界172か国中22位

日本のジェンダー不平等指数は0.059で、世界22位だった。一方、ジェンダーギャップ指数は118位と、世界の先進国のなかでも順位が低く、日本には男女格差が根強く残っていることが指摘されている。

それにも関わらず、日本のジェンダー不平等指数では比較的上位のスコアになった理由として、「労働力率」が評価の対象になっていることが考えられる。日本では働く女性が増えているが、実際には希望していても正社員として採用されず、パートタイムで働く人が多い。しかし、この「労働力率」にはその区別はないため、比較的高いスコアになることが指摘されている。

2025年「ジェンダーギャップ指数」全ランキング 日本は118位

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本当の格差を知ろう

「妊産婦死亡率」と「若年(15歳~19歳)女性1,000人あたりの出産数」の評価項目についても、とくに後進国では男女差ではなく、衛生上の問題などが原因となって、評価が低くなることも考えられる。そのため、ジェンダー不平等指数のスコアや順位だけを見て、「ジェンダー不平等」について判断するのは早計だ。

ジェンダーギャップ指数とあわせて、それぞれの算出方法を知ったうえで、その数値に隠れている事実や、本当の格差はないのか、目を向けていくべきだろう。

※掲載している情報は、2025年7月16日時点のものです。

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