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欧州では、自転車通勤を支援するなど「自転車にやさしい職場づくり」を支援する制度がある。各国の成功例を参考に、フランスでも同認証制度が始まった。
聖京香/Kyoka Hijiri
ライター
イギリス在住25年のフリーランスWebライター。好きなものに囲まれながらも無駄を失くし、丁寧かつサステナブルな暮らしを目指して精進中。好きなものは猫と本と森林浴。
米ぬか由来のイノシトール 「初耳!だけど使ってみたい」の声が集まる
欧州の「サイクル・フレンドリー・エンプロイヤー(CFE)」認証制度。欧州サイクリスト連盟(ECF)が、自転車通勤を支援する企業や団体を「自転車にやさしい職場」として認証する制度であり、すでに欧州15ヶ国で導入され、1,450社以上(従業員85万人超)が認証を取得している。
職場の取り組みを独立監査機関が評価し、ゴールド、シルバー、ブロンズの3つのレベルで認証を付与する。
自転車通勤を後押しするだけでなく、企業、自治体、自転車産業が連携し、持続可能なモビリティを社会全体で支える「サイクルエコシステム」を構築するのが目的だ。
この制度の成功例のひとつが、ドイツである。企業が従業員向けに自転車をリース提供する制度が定着しており、現在ではリース自転車の約78%が電動タイプで占められている。
この取り組みは、郊外在住者や中高年層にも通勤の選択肢を広げ、「通勤スタイルのゲームチェンジャー」として注目されてきた。個人の努力に頼るのではなく、制度とインフラでサポートする姿勢が、モビリティのあり方を大きく変えつつあるのだ。
また、環境負荷の軽減や交通渋滞の緩和に加え、従業員の健康促進、生産性の向上、地域経済の活性化といった多方面での効果が期待されている。
そして2025年7月には、欧州サイクリスト連盟(ECF)がフランスでのCFE導入を決定した。
フランスでは、自転車利用者団体のフランス自転車連盟(FUB)が制度運営を担当。FUBは2021年に、環境・エネルギー管理庁(ADEME)とともに同様の認証制度「Employeur Pro-Vélo(エンプロイヤー・プロ・ヴェロ)」を立ち上げ、すでに500社以上を認証してきた。
この制度とCFE認証を連携し、Employeur Pro-Véloの取得企業には、同等レベルのCFE認証が自動的に与えられる仕組みだ。
自転車はいま、制度や社会の後押しによって、選ばれやすい日常の移動手段として根付き始めている。CFE認証の広がりは、その流れを後押しする重要な仕組みだ。企業、行政、社会の仕組みが連動すれば、職場にも新しい通勤の選択肢が広がっていく。
日本にはこのような制度はまだないが、自治体ごとの自転車シェアリングサービスも広がっている。通勤や移動手段として、自転車という選択肢を考えてみてはどうだろう。
※参考
Cycle Friendly Employer Certification
La voiture reste majoritaire pour les déplacements domicile-travail, même pour de courtes distances|Insee
Cycle-Friendly Employer Consortium Expands to France!|European Cyclists’ Federation
Company Bike Leasing Could Be Europe’s Next Big Catalyst for Sustainable Mobility, New Report Shows|European Cyclists’ Federation
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