2020年、国際決済銀行(BIS)とフランス中央銀行が報告書「グリーンスワン」を発表した。地球温暖化に歯止めがかからない地球上でいつ起こってもおかしくない金融危機について、早急に対策を練る必要がありそうだ。
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2020年1月、国際決済銀行(BIS)とフランス中央銀行が「グリーンスワンー気候変動の時代における中央銀行の役割と金融の安定」という報告書を発表し、大きな話題となった。
グリーンスワンとは、気候変動がきっかけとなり、これまでの経験やデータからは予測できないような金融危機が起こるリスクを意味した言葉だ。
この報告書では、「二酸化炭素などの温室効果によって地球温暖化が進み、これが世界経済や金融システムに大きな影響を与える可能性がある」ことや、「石炭や石油、天然ガスなどの市場環境や社会環境が激変すると、投資家らによる投げ売りが発生し、結果的に金融危機を招くおそれがある」ことなどが言及されている。
また、気候変動による金融危機が起こった場合、影響は広範囲におよぶため、それを食い止めるための金融政策が現状ではほぼないということから、警鐘を鳴らしているのだ。
グリーンランドの氷床融解が過去最大規模になったことが問題視されているように、地球温暖化は止まらない。二酸化炭素の濃度はいまも右肩上がりで、現在は人類がこれまで経験したことのないほどになってしまった。
二酸化炭素濃度が上がり、気温が上昇することで海面上昇や異常気象が世界中で起こっており、今後さらに悪化するといわれている。
つまり、気候変動が起こるリスクはかなり高く、それによって金融システムが大ダメージを受ける可能性も高まっているのだ。
グリーンスワンは、ブラックスワンになぞらえて名付けられた。ブラックスワンとは、通常の経験からは予測できない金融危機のこと。
「あり得ないと考えられていたことが突然発生すると、影響は強さを増す」という理論を指し、ナシーム・ニコラス・タレブが著書で言及したことをきっかけに世界的に広まった。
白鳥は白いものと信じられていたが、オーストラリアで黒い白鳥が発見されたことによって、常識が覆されたことが由来だという。
例えば、2008年に起こったリーマンショックや、2016年に英国がEUを離脱したことなどがブラックスワンに当たる。
ただし、ブラックスワンとグリーンスワンには相違点もある。
ブラックスワンは予測不可能だが、気候変動リスクが現実になることは一定の確実性があるため、グリーンスワンはある程度予測がつく。
また、気候変動によって起こる惨事は、ブラックスワンによって起こる惨事よりも深刻であることも指摘されている。
地球温暖化は世界的な問題であり、各国が対応を急かされている。近年異常気象や自然災害などが相次いでいる日本でも、一刻も早く対策を行う必要があるだろう。
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