Photo by Blade–Made
再生可能エネルギーのひとつとして世界中で急速に普及している風力発電。そんな風力発電に使われた風力タービンが寿命を迎えた後、遊具や防音壁、タイニーハウスとして再利用する取り組みがオランダで始まっている。
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世界中で導入が進む風力発電だが、巨大な風力タービンの寿命は約20~25年とされ、耐用年数を迎えたタービンの処理方法について問題が生まれている。
とくに問題となるのが、翼の部分にあたるブレード。ガラス繊維や炭素繊維強化プラスチックなどの複合素材でできているため、リサイクルが極めて難しい。
そこで生まれたのが、オランダを拠点に活動する「ブレードメイド(Blade–Made)」だ。彼らは、役目を終えた風力タービンをおしゃれに活用する方法を模索している。
彼らが手がけるのは、役目を終えたブレードを素材として活用し、高品質でデザイン性の高い家具や建築資材へとアップサイクルするプロジェクト。
例えば、ロッテルダムの公園に設置された滑り台「Blade Slide」は、ブレードのカーブをそのまま活かした遊具へ。しなやかな曲線のブレードの一部は、スタイリッシュなベンチや、自転車スタンド、サインボードなどに活用されている。
街になじんだオブジェや遊具のなのに、よく見ると風力タービンだったことがそこかしこにうかがえる。上手にアップサイクルした事例と言える。
注目を集めているもうひとつのプロジェクトが、風力タービンをそのままタイニーハウスにした「The Tiny House」だ。
風力タービンのブレードの根本にあたるナセルと呼ばれる部分を活用している。ナセルは、幅3.5メートル、長さ10メートル、高さ4メートル程度の大きさで、タイニーハウスに最適だという。そこで、内部にキッチン、バスルーム、リビングスペースを設け、ミニマルな設備で心地いい暮らしができる空間につくられている。
太陽光パネルやヒートポンプ、ソーラー給湯器なども設置され、再生可能エネルギーを活用したオフグリッド生活が可能だ。
デンマークのコペンハーゲン近郊に設置されたこのタイニーハウスは、宿泊施設として利用されるだけでなく、会議スペースやイベントの開催場所としても活用されるという。
業界団体WindEuropeは、今後5年間でヨーロッパ全体で約14,000のブレードが解体され、4万~6万トンの廃棄物が発生すると見積もっている。再生可能エネルギーの普及とともに考えなければならないそれらの問題。オランダの成功事例は、各国でも参考に取り入れることができるのではないだろうか。
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