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ロレアルは2023年末、南アジア太平洋、中東、北アフリカの35か国におけるすべての運営施設で、100%再生可能エネルギーの導入を達成した。
Ouchi_Seiko
ライター
フランス在住。美容職を経て2019年よりライターに。居住地フランスのサステナブルな暮らしを手本に、地球と人にやさしい読みものを発信。
化粧品の最大手として知られるロレアルグループは、2023年末に南アジア太平洋、中東、北アフリカ(以下SAPMENAゾーン)の35か国における23の全施設で、100%再生可能エネルギーの導入を達成したことを発表した。
この成果は、地域内の工場、流通センター、オフィス、研究施設を含むすべての拠点で実現されている。エネルギー効率の高い設備や技術を導入した結果、2023年には、地域全体のエネルギー強度(最終エネルギー消費量を生産額や国内総生産で割った値)が2019年と比較して18%も減少している。
具体的に導入した再生可能エネルギーについて見てみると、例えば、エジプト、インド、インドネシアにある4つの工場では、風力・バイオマス・水力・太陽光がエネルギー源として採用された。これにより、操業中に発生する温室効果ガスを大幅に削減。さらに化石燃料ボイラーはすべて廃止され、代わりに電気やバイオ燃料ボイラーが導入されたという。
流通センターやオフィスでは、太陽光発電システムを可能な限り導入している。屋上型や地面設置型、駐車場用のひさしなどだ。現地でのエネルギー生産が難しい場合には、長期の電力購入契約(PPA)またはエネルギー属性証明書(EAC)、グリーン電力供給契約といった手段を活用することで、100%再生可能エネルギーを可能にした。
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SAPMENAゾーンとは、2021年にロレアルが設定したマーケット地域のことで、ニュージーランドからモロッコまでの広範囲、35か国が含まれる。総人口が約30億人に達するこの地域では、今後10年間で新規消費者の約半数が生まれると予測されている。
モロッコのアルガンオイルやインドのヘナなど、特徴的な商品を製造するロレアルのSAPMENAゾーン。紫外線量の多い地域でもあるため、スキンケア・ヘアケアの関心が高いという。そしてもう一つの大きな特徴は、この地域に暮らす人々の平均年齢が、世界平均より5歳若い、28歳である点だ。デジタルネイティブの多いSAPMENAゾーンでは、持続可能性の意味やインフルエンサーへの影響力がこれまで以上に注目されている。
ロレアルグループ全体では、2030年に向けてサステナビリティプログラム「ロレアル・フォー・ザ・フューチャー」を進めている。2025年までにはそれに先駆け、再生可能エネルギーの100%採用や、グループ全拠点でのカーボンニュートラル化の実現を目指すという。
今回、SAPMENAゾーンでは2025年の目標より2年早く、100%再生可能エネルギーの実現を達成した。これについて同地域代表のヴィスメイ・シャーマ氏は、「前倒しで達成できたことを誇りに思う」としながら、気候変動の影響をもっとも受ける地域のひとつとして、持続可能な取り組みをさらに継続していく意向を示している。
「ロレアル・フォー・ザ・フューチャー」では、2030年までに消費者の製品使用にともなう温室効果ガス排出量を、2016年比で1個あたり平均25%削減することを目標にしている。今回のSAPMENAゾーンにおける100%再生可能エネルギー導入によって、より現実味を帯びたものとなったかもしれない。
※参考
L'ORÉAL REACHES 100% RENEWABLE ENERGY ACROSS SOUTH ASIA PACIFIC, MIDDLE EAST & NORTH AFRICA|yahoo! finance
Sustainability glam: L’Oréal SAPMENA's Vismay Sharma on AI skincare and leading the green beauty revolution|campaign
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