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従業員はほぼ全員が元ホームレス。そんな異色のレストランがイギリスに誕生した。プロデュースしたのは、ミシュランスターシェフのアダム・シモンズ氏だ。
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ミシュランで星を獲得したことのあるイギリスの有名なシェフ、アダム・シモンズ氏がこのたび、ロンドンに新しい店をオープンさせた。だが、他のレストランと一線を画すのは、ここで働く従業員のほとんど全員が元ホームレスであることだ。
アダム氏の目的は、レストラン業界でキャリアを積むための人材を育成すること。路上生活に陥った人々にチャンスを与え、ホームレスの悪循環を断ち切ろうとしている。
というのも、アダム氏はいまではミシュランスターシェフとして成功を収めているが、自身がコカイン中毒になり、家賃を支払えなくなってホームレスになりかけた人物だからだ。しかし家族が受け入れてくれたため、この逆境を乗り越えることができた。
「ホームレスになることがいかに簡単なことか、わかっている。人々はさまざまな理由で路上生活を送ることになるが、我々は彼らに2度目のチャンスを与えている」と語っている。そんな彼の思いは、「Home Kitchen(ホーム・キッチン)」という店名にも込められているだろう。
レストランのウェブサイトには、「ホーム・キッチンは非営利のレストランであり、社会的影響のプログラムだ」と記載されている。事業として利益を求めるのではなく、社会支援活動の一環というわけだ。
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だが、調理経験のない従業員も多い。アダム氏のレストランでは、通常なら、そんな初心者が厨房に立つことはないだろう。しかしここでは、調理の研修もしっかり行う。
新入社員はまず3週間、料理短期集中コースを受講。その後2週間、アダム氏が携わる5つ星ホテル内にあるレストランでも研修を行う。また、90日間の試用期間が終わると、ロンドンの教育機関「ウェストミンスター キングスウェイ カレッジ」で1年間の料理技能認定コースを受講する資格が与えられる。
フルタイム契約の場合、時給13.15ポンド(約2500円)に加え、通勤手当が支給され、勤務中には食事も提供される。待遇面でも申し分ないだろう。
アダム氏は「ここのキッチンのスタッフはたくさんのミスをしますが、それでいいんです」と笑う。「彼らに自信をつけることが大切。だから従業員が失敗しても、それを受け入れて許すことが必要だ」と、話している。
コロナ禍をきっかけに、社会の格差が広がっているいま。アダム氏の野望はロンドンにとどまらず、イギリスのブライトンとアメリカのサンフランシスコにも、同様の店をオープンさせる計画だ。
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